「心のケア」をアートで。新たな試み、ビーズ・オブ・カレッジプログラム
小児がんや重い病気に苦しむ子どもたちにとって、心のケアは非常に重要です。この度、医療法人社団ときわと倉敷中央病院がアート介在療法「ビーズ・オブ・カレッジ」を新たに導入しました。これは、日本で唯一、認定を受けたNPO法人「シャイン・オン・キッズ」により提供されるプログラムで、治療を受けている子どもたちの自己表現を促進します。
ビーズ・オブ・カレッジとは?
「ビーズ・オブ・カレッジ」は、患者とその家族が入院中、さまざまな治療を通じて得た経験をビーズに記録していくアート介在療法の一種です。たとえば、輸血を受けたときは赤いビーズを、髪の毛が抜けた際には顔のビーズを繋げることで、治療ごとに思い出や達成感を可視化することができます。
このプログラムはアメリカで開発され、数多くの病院で標準的な治療法として採用されていることからも、その効果が期待されます。子どもたちはビーズを通じて、自らの感情を理解し、治療に対する受け入れを促します。小児がんに罹患している子どもたちが、治療前や治療中、そして治療が終わった後の過程を色とりどりのビーズで記録しながら、自分を取り巻く状況を客観的に見つめ直すことができるのです。
医療機関との強力な連携
医療法人社団ときわは、東京と埼玉を中心に在宅医療を展開している医療法人であり、小児在宅医療にも力を入れています。今回のプログラム導入を通じて、関東圏内の他の医療施設とも連携し、末期状態で自宅療養を余儀なくされている子どもたちとのコミュニケーションを図ります。また、家族に対してもグリーフケアとしての支援を行っています。
一方、倉敷中央病院では、2023年に福祉法人の助成を受け、「ビーズ・オブ・カレッジプログラムを活用した先天性心疾患の子どもたちの自立支援事業」に参加し、得られた成果を踏まえ、今回の小児がんプログラムを正式にスタートすることになりました。この取り組みは、将来的に心疾患を抱える子どもたちを対象とした自立支援プログラムに展開される計画もあります。
多くの施設でトライアル
この「ビーズ・オブ・カレッジ」プログラムは、医療法人社団ときわと倉敷中央病院の導入から始まり、今後32の医療機関で展開される予定です。アートを介した心のケアが子どもたちの治療に与える影響を見守りながら、全国での普及と展開が期待されています。
シャイン・オン・キッズの役割
「シャイン・オン・キッズ」は小児がんや重病の子どもたちとその家族を支援するために、多様な心のケアプログラムを運営しています。2006年の設立以来、全国の34の病院で活動し続け、動物介在療法や、オンラインでの学習支援なども提供しています。これらのサポートを通じて、子どもたちが持つ心の痛みを少しでも和らげ、彼らの未来に希望を持たせられるような取り組みが進行中です。
このような新たな試みは、病気と闘う子どもたちにとって、励みとなるだけでなく、家族全体に向けた大きなサポートの一助ともなることでしょう。