食用油の寿命を延ばす画期的フィルター技術が完成
日本精工株式会社(NSK)が、揚げ物調理に使用される食用油の寿命を延ばす新しいろ過機向けフィルター技術を開発しました。このフィルターは、揚げかすを取り除くだけでなく、油の劣化を抑制する効果もあります。日本の飲食業界や食品加工業界にとって、コスト削減や環境保全に貢献する画期的な製品です。
開発の背景
NSKは、2015年からこのフィルターの開発を開始しました。彼らは、自社が培った軸受の潤滑剤の劣化抑制技術と、摩擦材開発の際に得た抄紙技術を応用しました。2022年にはFOOMA JAPANに出展し、業界のニーズを調査。その結果、食用油の劣化抑制や油交換業務の効率化が求められていることが分かり、さらなる改良が進められました。
世界初の機能
このフィルターは、食品加工メーカーや飲食店向けに、油の劣化を抑える添加剤をフィルター内部に付着させた新しい構造を有しています。この仕様により、油をろ過する際に揚げかすを除去するだけでなく、酸化生成物も取り除けるため、食用油の寿命を最大なんと3割延ばすことが可能です。これによって、油交換の頻度を減らせるため、コスト削減と環境保護にも寄与します。
製品の特長
1.
寿命延長効果: 従来のフィルターと比べて、食用油の寿命を最大3割延長できます。これにより、例えば、3日に1回だった油の交換が4日に1回に減らせるかもしれません。これがもたらす経済効果は大きく、食品加工業者や飲食店の負担を軽減します。
2.
軽減される作業負担: 従来の粉体を用いた方法では、排出時に健康リスクが伴いましたが、この新しいフィルターは健康リスクを低減します。フィルター内の添加剤が油の劣化物を除去するため、作業環境が大幅に改善されます。
3.
安全性の高さ: フィルター内の添加剤はすべて食品添加物で構成されており、厚生労働省の規定をクリアしています。食品業界で安心して使える信頼性の高い製品です。
今後の展開
NSKは2024年夏以降に国内の大手食品加工メーカーへの試験販売を予定しており、さらなる顧客への導入を目指しています。また、コンビニやスーパーマーケットなど、フィルターを導入していない事業者への展開も考えています。市場に多くの利益をもたらすことで、飲食業界全体の技術革新へとつなげていく狙いです。
このようにNSKの食用油劣化抑制フィルターは、飲食業界における新たな選択肢となり得る製品です。期待の声が高まる中、どのように業界が変わっていくのか、今後の動向に注目です。