大阪・関西万博における新たな運航管理システム
2025年に開催される大阪・関西万博では、空飛ぶクルマやドローンが新たな交通手段として注目されています。しかし、これらの空の交通手段の運航管理には課題があり、特に安全性と効率性が求められています。そこで、Intent Exchange株式会社、NEC、そしてNTTデータの三社が共同で、運航管理システムを試験提供し、その実用性を検証することになりました。この取り組みは、万博期間中の2025年8月16日から10月13日まで実施されます。
空の交通の現状と課題
近年、ドローンや空飛ぶクルマに関する技術開発が進んでいますが、これらは低高度空域での飛行を行うため、既存の航空機との共存が不可欠です。現在、ドローンの運航には無人航空機の運航管理(UTM)という制度が定められており、国土交通省が運用しているドローン情報基盤システム(DIPS2.0)と連携しています。このような国際的なルールや基準に基づき、民間のサービスプロバイダ(USP)も認定される方向性が進められています。
試験提供される運航管理システムの機能
大阪・関西万博では、ドローンの飛行が原則として禁止されていますが、指定された場合には飛行が許可されます。また、同じ会場内で空飛ぶクルマが運航されるため、それぞれの運航状況を一元的に把握する必要があります。以下に、試験提供される運航管理システムの主な機能を紹介します。
1. ジオフェンスの設定
EXPO Vertiport管理者が設定するジオフェンスによって、ドローンが飛行できない空間を特定します。これにより、運航者は飛行不可区域を把握し、安全な飛行を確保します。
2. ドローンの飛行計画に基づくジオケージの設定
運航者は飛行計画に基づいてジオケージを設定。これにより、ドローンの現在位置と計画された空間を比較し、逸脱を検出することが可能となります。
3. リモートIDによる位置情報提供
NECが構築するリモートID受信機が、ドローンのリアルタイム位置情報を管理します。この情報は、他の関係者に提供され、運航状況を随時確認可能です。
4. 有人機の位置情報供給
JAXAが開発した受信機を活用し、他の航空機の位置情報をリアルタイムで収集、ドローンとの相対位置を把握することで、衝突のリスクを低減します。
5. 逸脱や侵入の検知と通知
運航管理システムは、ドローンがジオケージから逸脱したり、ジオフェンスに侵入した場合、関係者に通知します。これにより、迅速な対策が可能となります。
今後の展望
この試験運用を通じて、三社は得た知見をもとに運航管理システムの開発を進め、国土交通省が進めるUSP認定制度の要件検討に貢献することを目指しています。新たな空の交通手段としてのドローンや空飛ぶクルマが安全に運用されるための基盤が整いつつあります。今後の進展から目が離せません。
お問い合わせ
この取り組みに関する詳細や問い合わせは、各社へ直接ご連絡ください。Intent ExchangeやNEC、NTTデータがそれぞれ担当している分野から情報を得られます。