日本の介護用品を中国市場へ—西洋と東洋の架け橋
介護用品レンタルと販売を手掛ける株式会社ヤマシタ(静岡県島田市)と、国内介護用品の卸売大手である株式会社ウェルファン(大阪府寝屋川市)が新たに共同で設立した合弁会社「山下為楽帆(上海)実業発展有限公司」が発表されました。これは、急速に高齢化が進んでいる中国市場をターゲットにしたもので、2025年10月から事業を開始する予定です。この新会社は、日本式の介護用品提供のノウハウを活かし、ウェルファンの強固な国内メーカーとのネットワークを結集して、日本製介護用品の普及を目指します。
急拡大する中国の在宅介護需要
中国では、高齢者の人口比率が急成長しており、特に都市部、例えば上海では65歳以上の高齢者が約28%を占めるという報告もあります。およそ1.8兆元に達する介護関連市場が、2030年には3.7兆元に倍増する見込みです。これに対して、中国政府は高齢化社会に対する戦略を明確にし、介護用品の購入やレンタルに対する支援を拡充する方針を発表しています。具体的には、国全体での補助金制度が2025年1月から開始される予定で、これにより介護用具の普及が期待されています。
共同設立の背景
ヤマシタは、約40年の経験を活かし、上海で2020年に「山下福至(上海)健康管理有限公司」を設立し、その後も様々な取り組みを進めてきました。一方、ウェルファンは1982年に日本で高齢者向け肌着の製造を始め、介護用品の卸売事業にも進出、現在では業界最大手の地位を確立しています。
新たに設立された山下為楽帆(上海)では、両社の知見とネットワークを組み合わせて、中国市場での事業展開を加速させます。これにより、介護シューズや杖、歩行器といった主要な商品を中国国内で広く供給することが目指されています。
事業展開の展望
2025年の「CHINA AID 2025」においては、ヤマシタの出展にウェルファンが協力し、多くの需要を獲得しました。最初の段階では介護シューズや杖、歩行器に注力し、順次リハビリ機器や食事関連商品も展開する方針です。また、多様な販売チャネルを設け、介護施設や医療機関への供給、さらにECサイトでのオンライン販売も視野に入れています。
企業の概要
この合弁会社の設立は、日本の介護用品が中国市場で何らかの形で普及するための重要な一歩と言えます。ヤマシタは、介護用品事業を通じて、企業理念「正しく生きる、豊かに生きる」を追求し続けています。次の時代を見据えたこの取り組みは、2750億円を目指すヤマシタの売上目標にも寄与することでしょう。
今後、山下為楽帆(上海)が提供する介護用品が中国の多くの高齢者に届き、より安心で快適な生活につながることが期待されます。