新たなデータ解析手法
2025-11-13 16:48:34

DNAメチル化データ解析のバッチ効果を解消する新手法「iComBat」

DNAメチル化アレイデータ解析の新たな一手「iComBat」



計算生物学の領域での新しい挑戦として、株式会社Rhelixa(レリクサ)が開発したDNAメチル化アレイデータの前処理手法「iComBat」が、国際学術誌Computational and Structural Biotechnology Journal(CSBJ)に掲載されました。この新手法は、バッチ効果を解消するための革新的な解決策として注目されています。

1. 新たな挑戦「iComBat」の概要


DNAメチル化アレイ解析では、測定条件の違いにより生じるバッチ効果が避けられません。このバッチ効果は、測定機器や試薬ロット、測定時期のばらつきによってデータに系統的なズレを引き起こし、解析の信頼性に深刻な影響を与えます。従来の方法であるComBatは、全データを同時に補正する方式であり、新しいデータを追加すると既存データが不安定化するという問題がありました。

iComBatの特徴は、既に補正済みのデータを保持しながら、新たに追加されたデータにのみ補正を行うことです。これにより、長期的な介入研究やコホート研究といった、データの継続的な収集が必要な研究において強力な武器となります。

2. 研究の方法と成果


今回の研究では、シミュレーションおよび実際の公開データを用いた検証を行いました。その結果、iComBatは従来のComBatと同等の補正精度を保ちながら、新規に追加されたデータのみの補正が可能であることが示されました。

特に注目すべきは、従来法では新しいバッチを追加する際に既存データの結果が変化してしまう中で、iComBatではその現象が起こらないことが確認された点です。この特性により、データが段階的に集まるエピジェネティッククロックの介入前後の差を測る研究において、長期的な解析の信頼性を担保することができるのです。

3. 今後の展望


iComBatは、特にエピジェネティッククロックの変化を対象とした縦断的研究に活用が期待されています。食事や運動、環境などのライフスタイル介入を伴う研究や、特定の集団を対象としたコホート研究、さらにはサプリメントのような臨床介入を伴う研究でもスムーズなデータ処理が可能となります。

4. Rhelixaの取り組み


株式会社Rhelixaは、最先端のゲノム・エピゲノム解析技術を駆使し、生物学・医学・薬学の分野における基礎研究や製品開発を行っています。「エピクロック®テスト」などの自社サービスで得られたデータにiComBatを活用し、その精度向上を図ることが期待されています。

5. 論文情報


  • - 題名: iComBat: An incremental framework for batch effect correction in DNA methylation array data
  • - 著者名: 塘 由惟, 仲木 竜
  • - 掲載誌: Computational and Structural Biotechnology Journal
  • - 掲載日: 2025/9/19

このように、「iComBat」はDNAメチル化アレイデータの解析における新たな地域を切り拓く可能性を秘めた手法であり、その影響は今後の研究にも大きな影響を与えることでしょう。


画像1

画像2

関連リンク

サードペディア百科事典: DNAメチル化 Rhelixa iComBat

トピックス(その他)

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。