『楓図』寄贈の意義
2025-09-05 14:42:49

国宝『楓図』複製品が石川県七尾市に寄贈され復興支援へ

国宝『楓図』の複製品が七尾市に寄贈



2023年、キヤノン株式会社と特定非営利活動法人 京都文化協会が共同で進める「綴プロジェクト」の第17期作品として、長谷川等伯の国宝『楓図』の高精細複製品が能登半島地震の復興支援の一環として寄贈されることになりました。これらの作品は、長谷川等伯の故郷である石川県七尾市において、美術館や学校で広く利用される予定です。

『楓図』とは


『楓図』は、長谷川等伯が描いた作品で、金地に雄大な楓の木が描かれ、秋の日本の風景を華やかに表現しています。この作品は特に桃山文化の象徴とされ、国宝に指定されています。長谷川等伯の息子、長谷川久蔵の描いた『桜図』と並び、金碧障壁画の傑作として知られています。

寄贈の背後にある想い


「綴プロジェクト」では、復興への願いを込めて、原本の所蔵元である総本山智積院の特別協力のもとでこの複製品を制作しました。寄贈された作品は、石川県七尾美術館での展示を通じて一般の人々に公開されます。また、地元の小中学校では訪問授業を行い、地域の子どもたちに日本の文化を知る機会を提供します。

制作プロセスについて


複製品は、キヤノンの最新フルサイズミラーレスカメラ「EOS R5」を用いて撮影され、カラーマッチングシステムを活用して色彩を正確に再現しました。さらに、12色の顔料インクを使用した大判インクジェットプリンターで出力し、京都の伝統工芸士による金箔などの装飾が施されています。これにより、オリジナルに非常に近い形での再現が実現しました。

七尾美術館での展示


寄贈作品は、2025年9月20日および21日の二日間、石川県七尾美術館のアートホールにて展示されます。この展示では、ガラスケースなしで直接作品を見ることができ、一般来場者は自由に写真撮影を楽しむことができる予定です。また、この展示は「長谷川等伯展」の一環であり、美術館も震災後、初めての再開となります。

教育の一環となる訪問授業


さらに、寄贈作品を活用した訪問授業が東京国立博物館の復興支援事業「ひと、能登、アート。」と連携し、七尾市内の小中学校で行われます。授業では長谷川等伯の作品に親しむことを目的とし、地域の文化が次世代に受け継がれることが期待されています。

今後の展望


寄贈された高精細複製品は、今後も地域の美術館や学校で利用されることで、多くの人々に日本文化の魅力を伝えることができます。今回のプロジェクトは、単なるアートの展示を超え、地域振興や復興のシンボルとなることを目指しています。復興の願いが込められたこの作品を通じて、人々が共に未来を見つめる機会が増えればと考えています。

復興への思いが込められた制作背景の詳細については、動画も公開されています。ぜひご覧ください。


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