ファンケルの角質細胞研究について
株式会社ファンケルは、長年にわたり肌の最外層「角層」に注力し、特に敏感肌の方でも安全に使用できる化粧品の開発に励んできました。角層は体を外部の刺激から守る役割を担い、また、自身の肌の状態を反映する「お肌の履歴書」としても知られています。この度、ファンケルは角層の状態を新しい独自の指標で測定し、皮膚常在菌との関連を調査した結果、「P2角質細胞」という新たな指標を発見しました。
新たな研究成果
この研究は、横浜市の福田皮ふ科クリニックとの共同研究として進められました。研究の過程で、新しく発見された「P2角質細胞」がアトピー性皮膚炎の病態指標となる可能性があることが明らかとなり、この指標が症状の重症度とも強く関連していることが示されました。具体的には、「P2角質細胞」はアトピー性皮膚炎の症状が出ている部位に多く存在し、症状が重いほどその数が増加する傾向が確認されました。これにより、敏感肌のケアにおいて、「P2角質細胞」の管理が鍵になることが期待されています。
皮膚常在菌との関連性
皮膚表面には通常、皮膚常在菌が生息しており、これが皮膚のバリア機能や免疫機能に影響を与えています。しかし、これまで皮膚常在菌と角層の具体的な関係については十分に研究されていませんでした。ファンケルは、角層の特性と皮膚常在菌の関連性について詳細に分析し、これを明らかにすることを目指しました。
「P2角質細胞」の発見背景
新たな指標となった「P2角質細胞」は、細胞の大きさや構造の複雑さを基にFACS法で比較を行うことで見出されました。この指標が示すのは、脆弱な角質細胞が多く存在することです。このことから、皮膚の健康維持に向けた新たなアプローチが期待されます。アトピー性皮膚炎の症状が現れる部分とは異なり、症状のない部位でも微弱な炎症が見られることが報告されており、これに対するケアが重要だと考えられています。
今後の展望
ファンケルは、この研究成果を生かして、次世代の化粧品やサービスの開発に向けた研究を推進していく方針です。敏感な肌を持つ方々にとって、皮膚常在菌の調整を通じて肌トラブルを予防できる可能性が開かれています。この革新は、これからのスキンケアの在り方を変える力を秘めています。
まとめ
肌の健康を支えるための角層研究はまだ始まったばかりですが、ファンケルが発見した「P2角質細胞」は、敏感肌やアトピー性皮膚炎の理解を深め、改善へと繋がる新しい道を切り開くものと期待されています。今後の進展に注目が集まります。