東京都が外来種対策リストを初公開
東京都はこのたび、新たに作成した「外来種対策リスト2025」と「外来種対策行動の手引き」を発表しました。これらの資料は、都内に生息する重要な野生生物の保護に向けた施策の一環として位置づけられており、特に侵略的な外来種に対する対策の強化を図るものです。これによって、令和7年3月に発表された「東京都の保護上重要な野生生物の戦略的保全方針」に掲げる目標、すなわち「新たな野生絶滅ZEROアクション」の実現に向けて進められます。
外来種対策リスト2025の概要
今回初めて公表された「東京都 外来種対策リスト2025」は、本土部や伊豆諸島において、特に影響を及ぼしている外来種のデータを基に作成されています。リストには614種類の外来種が含まれており、それぞれの種について、定着状況、生態系への影響度を評価した結果が反映されています。特に生態系に大きな影響を及ぼすものについては、「防除推進外来種」として優先的に取り組むことが示されています。
その中には、例えばキショウブやクビアカツヤカミキリ、アズマヒキガエルといった外来種が含まれています。これらの種は、都内の自然環境に大きな脅威をもたらすため、特別な注意が必要です。
一方で、小笠原諸島については、すでに「世界自然遺産小笠原 島管理計画」に基づく外来種対策が進行中のため、現時点ではリストへの評価が保留されています。
行動の手引きで実践を促進
「外来種対策行動の手引き」は、外来種対策を行うための具体的なガイドラインを提供しています。この手引きでは、様々な主体がリストを活用し、効果的に取り組むことができるよう、都内における基本方針や留意点などをエリアや種別ごとに解説しています。イラストも交えながら分かりやすく説明されているため、一般の方でも理解しやすい内容になっています。
手引きの中では、自宅の庭や公園、市街地での外来種対策として何ができるのか、また地域での協力の重要性についても触れられています。全国的な生物多様性の保護活動に貢献し、地域の自然環境を守るための具体的なステップを提案しているのです。
新たな野生絶滅ZEROアクションの重要性
「東京都の保護上重要な野生生物の戦略的保全方針」は、生物多様性地域戦略に基づき、外来種対策もその一環として重要視されています。この方針の中で掲げられている「新たな野生絶滅ZEROアクション」では、野生絶滅となる種が一つも出ないよう、実効性のある取り組みを多様な主体が連携して実施することが目指されています。
多様な生き物同士のつながりを意識した保全策は、特定の種のみならず、全体の生態系の健全さを保つためにも重要です。外来種対策は、個々の種の保護だけにとどまらず、地域の自然環境全体を考慮した取り組みとして広く理解されるべきです。
このように、東京都が進める外来種対策はただの一時的な対策ではなく、持続可能な自然環境を守るための長期的な計画として位置づけられています。これにより、地域社会全体が自然保護に参加し、実践するきっかけとなることが期待されています。詳細な内容は、環境局のホームページで確認できます。