経営理念の浸透が日本企業の生産性を左右する重要な要素
2023年2月4日、公益財団法人日本生産性本部が発表した「上場企業の人的資本経営の浸透・従業員認知に関する調査(速報版)」が注目を集めています。この調査は、経営理念の浸透が、従業員のワークエンゲージメントや心理的安全性、ひいては生産性にどのように影響を与えているかを示すものです。
人的資本経営とは
まず、人の資本としての価値を最大限に引き出す「人的資本経営」が、現在の企業運営において非常に重要な要素とされています。日本生産性本部では、2023年4月に「人的資本経営の測定・開示ワーキンググループ」を設置し、企業の人的資本に関する情報の開示状況を調査。これにより、有価証券報告書への記載が義務付けられるという新たな流れが生まれています。
2024年7月には「人的資本の測定と開示が企業経営に与える影響」をテーマに、ヒアリング調査やアンケート調査を基にした報告書を発行予定です。今回の調査は、特に従業員が自社の人的資本経営をどのように感じているのかを探ることを目的としています。
調査対象と結果
調査は2025年10月21日から24日の間に、25~64歳の日本の上場企業に勤務する1,097名を対象にインターネットで実施されました。この調査は、事業創造大学院大学の教授陣のサポートを受けて行われました。ここから得られた主要な傾向をいくつか振り返りましょう。
まず、自社の経営理念が理解できている従業員は54.3%と半数を超えていますが、新入社員や社外者に説明できると答えた従業員は40%前後。経営理念の浸透については、年齢別では55~64歳で特に高い傾向が見られました。
次に、人的資本経営施策に対する従業員の認知度にはばらつきがあり、万人に向けた「マス対応」の施策については、肯定的な回答が約4割。一方で個別対応施策は施策の種類によって異なる結果となり、受け止めがさまざまでした。
経営理念と生産性の相関
特に注目すべきは、経営理念の浸透がワークエンゲージメントや心理的安全性、生産性との相関関係を示した点です。経営理念が共有されることで、職場環境や従業員のモチベーションに良い影響を与えている可能性があります。
実際、経営理念を肯定的に受け止める従業員は、ワークエンゲージメントのスコアが約1.5倍も高く、心理的安全性や生産性についても同様の傾向が見られました。
このデータは、企業が経営理念の浸透に力を入れることが、従業員のエンゲージメントや生産性向上に直結することを示唆しています。経営理念がしっかりと浸透した企業は、より良い職場環境を築いているのかもしれません。
まとめ
経営理念の浸透が企業経営に与える影響は計り知れません。此次の調査結果から事業運営の重要な要素として、経営理念をどのように従業員に伝え、理解を促進するかが今後の日本企業の発展に大きく寄与することは間違いありません。詳細は、日本生産性本部の調査研究サイトをご覧ください。
調査詳細