農園型障がい者雇用が企業価値を高める可能性
東京富士大学の高田真也准教授の研究チームがこのたび発表した研究結果は、障がい者雇用の新しい形として注目されている「わーくはぴねす農園」が、企業の価値向上に寄与する可能性を示唆しています。本記事では、その研究内容と意義について詳しくご紹介します。
1. 研究の背景と目的
この研究は、株式会社エスプールプラスが提供する農園型障がい者雇用支援サービス「わーくはぴねす農園」を利用している企業に対する調査を基にしています。高田准教授は、障がい者雇用が企業内部でどのような効果をもたらすのかを探るため、127社に対してアンケートを実施しました。
2. 調査方法
調査は、2022年5月の10日から23日の間に行われ、270社が対象となりました。最終的に127社から回答を得たこの調査は、オンラインフォームで実施され、データの分析には「共分散構造分析」という手法が用いられました。この手法は、変数間の因果関係を統計的に解析し、理解を深めるための視覚的な実現を可能にします。
3. 主な分析結果
3.1 職場内の交流促進
障がい者雇用を通じた理解が深まることで、部門間での交流が活発化し、多様性に対する受容が進むことが分かりました。これは、職場環境の改善に寄与します。
3.2 従業員満足度の向上
農園への理解が高まることにより、従業員の不満が低減し、帰属意識が高まる結果が得られました。つまり、障がい者雇用を進めることが企業全体のモチベーションにも影響を与えることが実証されたのです。
3.3 役員の理解促進の重要性
役員が障がい者雇用や農園の取り組みについて理解を深め、それを従業員に伝えることで、企業内の理解が広がります。役員の積極的な関与が求められることがここでも明らかになりました。
3.4 採用活動や投資家へのポジティブな影響
一部企業では、農園型雇用の導入が採用戦略や投資家の反応に好影響を与える事例が確認されています。これは、企業の社会的責任を果たす一方で、企業のブランディングにも寄与していると考えられます。
4. 今後の取り組み
エスプールプラスでは、今後も農園の参与企業と連携し、障がい者雇用を拡大してまいります。企業理念である「一人でも多くの障がい者雇用の創出」の実現に向けて、さらなる努力を続けるとしています。
5. 高田准教授からのメッセージ
高田准教授は、「今回の研究を通じて、農園型の障がい者雇用が組織全体の風通しを良くし、従業員の不満解消に貢献することが分かりました。経営層が農園見学を通じてコミュニケーションを活発化させることが重要です」とコメントしています。
6. 結論
障がい者雇用を農園という新たな舞台で進めることにより、企業の内部環境の向上が期待できることが明らかになりました。この研究は、企業の経営革新に向けた大きな一歩であり、今後の取り組みに今後も注目が集まります。ぜひ、他の企業でもこの取り組みを参考にしてほしいと思います。