コミュニティの価値を探求する新たなフォーラム
2026年1月24日、東京都千代田区にある上智大学にて、「実践と研究でつむぐ コミュニティ評価の新しいものさし」というフォーラムが開催されました。このイベントは、一般社団法人 幸せなコミュニティとつながり実践研究所(通称:コミつな研)が主催し、地域のつながりやコミュニティの価値をどうやって明確化し、社会に伝えていくかを深く探る場となりました。参加者は定員の50名に達し、多くの関心を集めました。
コミュニティの価値が伝わりにくい理由
地域社会での活動、公的機関、NPO、市民活動など、人と人とのつながりから生まれる価値は広く理解されているものの、それを数値や成果として効果的に伝えることは難行事です。コミつな研は、このような壁を乗り越え、研究者と実践者の視点を融合し、コミュニティの価値を測る「新しいものさし」を模索しています。フォーラムでは、これまでの実績や協力事例が分かち合われ、参加者同士の貴重な対話が交わされました。
変化をどう測り、伝えるべきか
フォーラムの第2部では、SETの理事長である三井俊介が登壇し、特に彼のキャリアがどのように構築されてきたかをプレゼンテーションしました。彼の組織は、岩手県陸前高田市を拠点に、若者の挑戦を支えるための多様なプログラムを展開してきました。具体的には、中高生の修学旅行における民泊の受け入れや、大学生向けの地域づくりに関する実践型プログラムなどが含まれています。これまでに18,000人以上の若者がこのような活動を経験し、年間3,000人以上の地域住民が積極的に関与しています。
つながりの重要性とその希薄化
フォーラムの中で繰り返し問われたのは、「なぜ、つながりが重要だと認識しながらも、それが薄れているのか」というテーマです。人間関係やコミュニティの価値が見えにくくなることで、その重要性が伝わりにくくなっているという意見が多く寄せられました。健康診断で数値化される健康のように、見えないものは重要視されなくなりがちです。このフォーラムでは、「見えなかったものをどのように形にするのか?」という問いが常に展開されていました。
測定の意義とリスク
石田祐氏による講演では、「測ることで何を動かしたいのか?」という深い問いかけがなされました。何かを変えようとすると、指標設計には恣意性が入り込み、データは中立性から逸脱することが懸念されます。しかし、測定をしなければ、消えていく重要な価値もあります。このように、可視化と評価の間には緊張関係が存在し、それを向き合う覚悟が求められることが共有されました。
測ることの本質とその意義
フォーラムの結論部分では、本質的な価値ほど測りにくいが、そのプロセスに意義があるとされました。自分たちが大切にしているものを言葉にし、意見が集まることでチーム全体の価値観が少しずつ整っていく可能性が示されました。SETの実践とコミつな研のビジョンが重なり合う点は、「可視化を通して対話を生む」という共通の目標にあると言えるでしょう。
フォーラムの概要
フォーラムの詳細は以下の通りです:
- - 名称:実践と研究でつむぐ コミュニティ評価の新しいものさし
- - 日時:2026年1月24日(土)13:00〜16:30
- - 会場:上智大学
- - 主催:一般社団法人 幸せなコミュニティとつながり実践研究所
- - 主要登壇者:石田 祐(関西学院大学教授)、田中 多恵(アンドパブリック株式会社)、石濱 千夏(ふたやすみ)、大槻 昌美(非営利型株式会社Polaris)、石飛 友里恵(大阪大学大学院)
認定NPO法人SETの活動について
SETは、「一人ひとりの“やりたい”を“できた”に変え、日本の未来にGOODなchangeを起こす」ことをミッションに掲げています。2011年の東日本大震災以降、岩手県を中心に、若者と地域住民が共に学びあい、地域に活力をもたらすための仕組みを築いてきました。具体的には、中高生向けの修学旅行や、地域づくりプログラムなどが展開され、活動の参加者は2024年度には年間5,000人以上に達する見込みです。SETの取り組みは、若者の成長と地域の活性化を同時に実現する「循環型の社会装置」として位置づけられています。