海洋性微細藻類と肌老化
東京工科大学の吉田雅紀教授の研究グループが、海洋性微細藻類ソラリス由来のフコキサンチンが肌の老化プロセスに関与する「老化細胞随伴分泌現象」(SASP)を抑制する可能性があることを発見しました。この画期的な研究成果は、2026年6月25日・26日に開催される「第51回日本香粧品学会」で発表される予定です。
SASPとは何か?
SASPは、老化した細胞が分泌する炎症性物質によって引き起こされる現象で、周囲の細胞を刺激し、肌の老化を加速させる原因となります。この現象は、シワやたるみなどの見た目の老化を引き起こすだけでなく、その背後には慢性的な炎症や肌細胞の破壊も含まれています。紫外線(UVB)によってこれらの現象が悪化することから、光老化の一因とされています。
研究の方法と結果
本研究では、表皮細胞に対するフコキサンチンの影響を評価するため、In vitro試験を実施しました。具体的には、UVBを照射したグループと未照射のグループそれぞれにフコキサンチンを添加し、さまざまなサイトカインの発現量をPCRを用いて測定しました。その結果、紫外線照射により、炎症物質であるIL-6やMCP-1、そして肌のコラーゲンを分解する酵素MMP-3が増加しましたが、フコキサンチンの添加によりその増加は有意に抑えられました。特にIL-6とMCP-1の抑制が顕著でしたが、MMP-1に関しては影響が限定的でした。
また、フコキサンチン添加により、肌のバリア機能にかかわるタンパク質インボルクリンも増加傾向にあることが確認されました。これは、肌の健全性を維持する上で重要な役割を果たします。
今後の展望と期待
この研究から、フコキサンチンは、炎症や肌構造の分解を引き起こすSASP因子の発現を抑制できることが示されました。これにより、肌の老化の連鎖を食い止め、健康的な肌を維持する新たな抗老化成分としての応用が期待されています。特に、内因性老化と光老化の両方に対して効果がある可能性があるため、多様な化粧品や治療法への展開が考えられます。
発表学会の詳細
研究成果は、2026年6月25日(木)に東京の有楽町朝日ホールで行われる「第51回日本香粧品学会」で発表されます。発表は12:20から13:20に予定されており、ポスターセッションでの紹介も行われます。更に、展示会ブースではソラリスエキスの説明やサンプルの配布も行われる予定です。
研究機関と企業について
東京工科大学は化粧品における有効成分の開発を目指し、皮膚科学に関する基礎研究を行っています。一方、circuRE act株式会社は、海洋性微細藻類からの国産原料の開発に取り組んでおり、サステナブルな素材の提供を通じて環境負荷の低減を目指しています。どちらも、先進的な研究と製品開発に力を入れています。これからも、この研究の成果に期待が寄せられます。