日本企業の海外赴任前研修の現状と課題 2025年版

第29回ビズメイツ調査：海外赴任前研修の現状

ビズメイツ株式会社が実施した最新の調査は、日本企業における「海外赴任前研修」の現実を浮き彫りにしています。調査対象は、従業員500人以上の企業から400名の人材育成・研修担当者です。この調査の結果、研修必須化が3割未満にとどまる一方、9割以上の企業では途中帰任が発生していることが明らかになりました。

研修制度の不備と帰任の理由

調査結果では、海外赴任者を派遣する企業の約4割が年間101名以上の赴任者を出しているにも関わらず、必須研修を受講する企業は3割に満たない状況です。さらに、本人任せや未実施にする企業も全体の約3割を占め、研修体制のばらつきが顕著です。

途中帰任の理由として、語学力不足が挙げられると思われがちですが、実際には異文化適応の失敗や現地コミュニケーション不全が大きな要因となっています。これは、語学だけではなく、異文化理解が重要であることを示しています。

必要とされる研修の内容

最も多い研修内容は安全対策や語学、異文化理解です。しかし、帯同家族へのサポートやメンタルケアについては実施率が低く、家族の健康・生活環境も考慮する必要があります。これからの海外赴任研修は、本人だけでなく、家族を含めた包括的な支援が求められています。

企業が直面する人材育成の課題

調査結果では、多くの企業が3年以上の中期的な派遣を前提としているものの、途中帰任を減少させるためには、継続的な支援が必要です。調査に寄せられた自由回答の中で明らかになった最大の課題は、海外赴任そのものへの意欲低下です。もっと多くの人材が安心して海外に挑戦できる環境を整えることが、大きな課題です。

まとめ

本調査は、海外赴任前研修の実状を詳細に示しています。企業は、語学研修中心の従来の手法から脱却し、異文化理解を重視した効果的な研修体系を構築する必要があります。また、次世代の人材育成には、家庭や社員の生活環境も改善していくことが欠かせません。これにより、日本企業のグローバル展開をさらに推進できるでしょう。