エンボディドAIの実現に向けた新たな一歩
最近、NexdataがエンボディドAI向けに特化したデータサービスを提供開始したとの発表がありました。この新サービスは、エンボディドAIの実用化を加速させるために設計されたもので、データ収集センターも複数拠点に設置されています。既製データセットの提供と、独自要件に応じたカスタマイズデータの作成を行うことで、エンボディドAIの最も大きな課題であるデータ不足を解決します。
エンボディドAIとは何か?
AIはその進化の過程で、「計算」から「身体」へと移行しており、エンボディドAIは、環境とリアルタイムで相互作用を図りながら知覚し、学習し、意思決定を行う能力を持つ知能です。家庭、医療、製造業、モビリティといった幅広い分野で注目されており、未来のインテリジェンスを支える技術として期待されています。しかし、エンボディドAIの実用化に向けて解決が求められる課題も存在しています。
エンボディドAIのデータ課題
データ収集コストの高騰
エンボディドAI向けデータ収集にはいくつかのアプローチがありますが、例えば遠隔操作ロボットによる実環境収集や、シミュレーションによる合成データ生成、モーションキャプチャー、Web上の画像・動画データを活用する方法などがあります。しかし、どの方法も企業が望む品質、コスト、スケールのバランスが取れていないのが現状で、これがエンボディドAI開発のスピードを阻害しています。
データ標準の欠如
エンボディドAIの分野において、共通のデータフォーマットやアノテーション基準は未だに確立されていません。これにより、異なるプロジェクトや企業間でのデータの共有や再利用は非常に難しく、タスクや環境ごとにデータの形式が異なることが問題となっています。このため、照明条件や物体の形状、さらには文化的背景などが影響し、モデルの汎化性能が制限されます。
動的インタラクションデータの不足
エンボディドAIの特徴は、人間と環境がリアルタイムで相互作用することで生み出されるダイナミックなシーンです。ただし、そのような行動は瞬時に変化するため、高精度なセンサーと厳密な同期技術なしには記録が難しいのです。特に「転倒」「緊急回避」「障害物検知」などの重要な事象は、実際の環境でデータを収集するのがほぼ不可能とされています。シミュレーションでの再現も、リアリティと再現性を両立するのが難題です。
Nexdataの新たなアプローチ
こうした課題を乗り越えるべく、NexdataはエンボディドAI専用のデータインフラを整備し、本格的なデータサービスをスタートしました。このサービスでは、既製データセットの提供、マルチモーダル対応のデータ収集作業代行、データアノテーションサービスなど、一気通貫したサポートを行います。
提供されるデータセット
現在、以下の4種類の高品質な既製データセットが利用可能です:
- - 第一人称視点インタラクション動画 (20万件):多様な環境でのChain-of-Thoughtアノテーション付き
- - リアルタイム対話動画 (15万件):映像、音声、テキストの3点セット
- - 3Dハンドジェスチャーデータ (15万件):第一・第三人称視点、21点キーポイント付き
- - 高精度3Dオブジェクトデータ (10万点以上):メッシュ・テクスチャ完備
グローバルなデータ収集センター
さらに、Nexdataはアメリカ、ドイツ、中国に加え、日本国内でも複数のデータ収集センターを設置しています。これらの施設では、RGB、深度、LiDAR、IMU、音声、触覚センサーを同期して収録でき、高精度なアノテーションやカスタマイズデータ収集を一元的に提供します。特に、転倒や緊急回避といった重要なシーンの再現についても、GDPR準拠での匿名化処理を標準で行うことが可能です。
エンボディドAIの未来を支えるNexdata
Nexdataは、既製データの拡充に加え、シミュレーションと実データを融合させたハイブリッド収集環境や、AI支援のアノテーションプラットフォームの整備にも力を入れています。エンボディドAIのための「データ基盤」として、企業のAI実装を根本的に支援する取り組みが進められています。信頼性、多様性、スケーラビリティを兼ね備えたデータで、次世代AI開発をリードしていくNexdataの動向に注目です。
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