マネックス証券がKongを導入し、システムを新たに構築
マネックス証券株式会社が、自社の基幹システム『GALAXY』にKongのAPI管理プラットフォームを採用することを発表しました。このシステムは、マネックスが目指す「投資の民主化」に向けた重要なステップとなります。
『GALAXY』は、株式・債券・投資信託など多岐にわたる金融商品を支える統合プラットフォームであり、今回のKong導入は、従来のモノリシックなシステムからマイクロサービス化へと進化を遂げる取り組みの一環です。この移行により、クラウド環境とオンプレミスを組み合わせたハイブリッドモデルを実現し、柔軟性と拡張性を持つシステムの基盤を築くことを目指しています。
導入背景と抱える課題
GALAXYシステムはこれまで、複数の金融ドメインが統合されたモノリシックな構造により、いくつかの課題を抱えていました。具体的には、障害が発生した際の影響範囲が広がり復旧に時間がかかること、株式市場の急変動時にリソース不足となるリスク、顧客数や取引量の増加に伴うバッチ処理時間の短縮が求められること、さらには独立した商品開発・リリースが難しい状態にありました。これに対処するためには、将来的な成長を支える柔軟でスケーラブルなシステムの構築が不可欠です。
技術的アプローチと解決策
マネックスではこの課題に対し、ドメイン駆動設計を導入し、各商品単位での独立開発・リリースが可能な体制を目指しています。マイクロサービスアーキテクチャにより、障害の切り分けや機能拡張も容易となり、俊敏で柔軟な運用が実現されます。また、API通信にはgRPCを採用し、Kongをゲートウェイとして利用することで、通信の一元管理を行います。さらに、非同期処理基盤を導入することで、急変動時にも安定運用が可能となります。基幹システムはオンプレミスで運用しつつ、投資情報配信など周辺サービスにはパブリッククラウドを活用するアプローチは、新しいビジネスモデルの形成に寄与するでしょう。
Kong導入の理由
従来、他社製のAPI管理製品を使用していたマネックス証券ですが、Kongを選んだ理由は多岐にわたります。特に、オンプレミスへの柔軟な対応能力、豊富なプラグインによる機能拡張性、日本語による迅速なサポート体制、デジタル庁に推奨されたAPIゲートウェイとしての認定実績などが挙げられます。これらの要素が組み合わさり、Kongはマネックス証券にとって理想的な選択肢となりました。
今後の展望
創業以来、「未来の金融を創造する」を掲げるマネックス証券は、今後も柔軟かつ革新的なサービスの提供を目指します。自社アプリに加え、「GALAXY API」を外部パートナーにも提供し、他の金融サービスとの連携を強化する構想も進行中です。API GatewayとしてKongを活用することで、安全かつ拡張性の高い金融サービスの実現が期待されます。また、Kong株式会社の有泉社長は、今回の採用が日本のデジタル金融において重要なテーマであると強調し、マネックス証券のデジタル変革を全力で支援する意向を示しています。
こうした取り組みは、今後さらに多様化する金融ニーズへの対応と、顧客にとってより便利で安心なサービスの提供につながっていくことでしょう。