働く障害者の実態調査から見えてくる課題と解決策とは
株式会社スタートラインが実施した『障害者の就労に関する実態調査』では、民間企業で3年以上働く障害者の約82%が「辞めたい」と感じたことがあると報告されています。この調査は障害者雇用の実状を明らかにし、改善の必要性を築いています。
辞めたい理由の深層
調査によれば、仕事を辞めたいと感じる主な理由は「周囲の人から必要とされていない」とのこと。その割合は23%に達し、次いで「障害があることで自分らしく働ける環境ではないと気づくとき」「自分の障害特性を強みとして活かせていないとき」が上位に上がりました。このような状況は、障害者が働く意義ややりがいを失っていることを示唆しています。
また、具体的に職場での支援が不足している状況が考えられます。法定雇用率の達成を重視するあまり、実際には必要な業務や役割が提供されていない場合が多いのです。これにより、障害者が自己の価値と貢献感を感じづらくなり、職場に留まりたくないと感じる要因になっているのです。
逆に働いていて良かった理由は?
逆に、仕事をしていて良かったと思う理由としては「自分の成果や貢献が認められたとき」が最も多く、35%がこの項目に挙げる結果が出ました。また、「障害があっても自分らしく働ける環境だと実感するとき」が30%、周囲から必要とされていると感じることが27%と続きました。この結果は、職場での認識と支援が障害者にとっての「働きがい」に大いに関わることを示しています。
社会の共生を目指して
職場での感覚は、企業の障害者雇用に対する指針に大きく依存しています。企業は法定雇用率の達成だけでなく、「価値創造」に重きを置く必要があります。具体的には、障害者が自分の能力を最大限に発揮できるような環境を整備し、成果がしっかりと認識・評価されることで、業務への参加感と貢献感を感じやすくなります。
このように、「自分の役割がある」「社会に貢献できている」という感覚が得られることは、障害者にとってのやりがいや働きがいにもつながります。共生社会の実現に向けて、障害者と企業がともに尊重し合い、支え合う道を選ぶことが重要です。
今後の展望
多くの企業が障害者雇用に対する理解を深め、価値を創造していく姿勢が求められます。企業の成長は、障害者の価値をしっかり評価することで促進されるのです。この調査から得られたデータを元に、障害者が真に必要とされる雇用環境の構築を目指すことが必要でしょう。
結論
障害者雇用は、ただの法定雇用率達成ではなく、企業価値と就労価値が共に実現する新しいパラダイムの構築が求められています。障害者雇用の質を高め、全ての人が自分らしく生きるための社会づくりに一歩踏み出していきたいものです。