近年、企業や職場での出世意欲が減少しているとの声がしばしば聞かれます。特に、20代から40代の社会人の中で出世に対する興味が薄れているのではないかと懸念する意見も多く、今回、その実態を探るべく300名の社会人にアンケート調査を実施しました。実際のところ、若い世代はどのように考えているのでしょうか。
調査結果の概観
2025年の1月に実施したこの調査では、企業に勤める正社員の20〜40代の男女に出世意欲について質問しました。興味深いのは、出世したいと考えているのは全体のわずか29%にすぎず、約71%の人が出世を望んでいないことが明らかになった点です。具体的には、最も多かった選択肢は「出世したくない」で、指摘された理由はさまざまですが、管理職になっても給与が上がらないことや、より多くの責任が増えることへの懸念があげられています。
出世したくないと回答した人々からは、特に30代の女性が「管理職になっても待遇が低下する」といった声を、「仕事が増える上に部下の管理まで求められるのは避けたい」と40代の男性が述べるなど、辛辣な意見が寄せられました。その一方で、出世したいと答えた人たちの理由にはキャリアアップや給与の増加が含まれており、これらの人々はキャリア形成への意欲をもっていました。
仕事とプライベートのバランス
また、仕事に対する価値観も示されました。アンケートの結果、50%もの人が「プライベートを優先すべき」と考えており、44%が「どちらも充実させたい」と答えました。中でも、30代はプライベートを重視する傾向が顕著で、ほぼ半数が仕事よりもプライベートを大切にしたいと答えています。
年齢別にみれば、20代が40%と最も出世意欲が高いことがわかり、「最近の若者は出世したがらない」という見方は実は公平ではないことも浮かび上がりました。出世に向けての関心が高い層が存在することが明らかになったからです。
出世とその現実
興味深いのは、出世しない方が「本当に優秀な人は出世しない」といった意識が徐々に広がりつつあることです。実際、管理職を目指しているのはわずか23%にとどまり、出世への意識が薄れていると感じる人は確かに多いようです。
これらの結果を踏まえると、社会人の多くが給与の増加よりもワークライフバランスやプライベートの時間を重視していることが伺えます。今後も企業は、個々のキャリア志向を尊重する方針や働き方を再考し、出世意欲を刺激するような制度作りが求められるでしょう。多様化する働き方の中で、出世やキャリア形成が果たす役割も変わってくるに違いありません。
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