次世代微生物同定
2025-06-05 11:39:22

次世代微生物同定ソフトウェアの製品化。新たなバイオ研究の扉を開く

新たな微生物同定テクノロジーの誕生



最近、NITE(ナイト)と島津製作所、産業技術総合研究所が共同で進めてきた次世代微生物同定ソフトウェアが製品化されました。この新しいソフトウェアは、約85,000種の原核微生物を迅速に同定する能力を持っており、特に未培養や難培養の微生物にも対応しています。本製品は5月20日に島津製作所より発売され、今後の様々な微生物研究や産業分野への広がりが期待されています。

背景と開発の必要性



微生物の迅速な同定は、医療現場や食品業界での品質管理、さらにはバイオ製品の研究開発など、多岐にわたる分野で重要な役割を果たしています。特に、MALDI-TOF MSを利用した微生物同定技術は、そのスピードと簡便さから、多くの利用者に支持されています。しかし、これまでの技術にはいくつかの課題も存在しました。たとえば、同定結果が培養条件によって影響されることや、同定可能な微生物の種類が限られていることがあります。また、MALDI-TOF MSの異なる機種では解析ができないといった問題もありました。

新しいソフトウェアの特長



島津製作所が開発した新しいソフトウェア、「MicrobialTrack」は、ゲノムの遺伝子情報から導き出されたタンパク質の理論質量を基にしたデータベース(GPMsDB)を使用しています。このデータベースにより、これまで同定が難しかった微生物種の迅速な同定が可能となりました。これにより、産業界や医療現場での応用が大幅に拡がります。具体的には、MALDI-TOF MSの機種によらず同定ができ、さらに微生物のタンパク質情報も取得できるため、より確かな分析が可能となります。

今後の展望



この新しい微生物同定ソフトウェアの導入によって、汚染微生物の同定精度が向上し、食品や医薬品の品質管理におけるリスクを軽減できます。また、未培養や難培養の微生物に対応しているため、医療、環境、農業分野における基礎研究でもその効果を発揮するでしょう。これにより、新しい微生物を使った革新的なバイオ製品の開発や新産業の創出が期待されています。

NITEについて



NITEは経済産業省管轄の行政法人であり、工業製品の安全性や品質向上を担う機関です。中でも、バイオテクノロジーセンター(NBRC)は、9万7千株以上の微生物を保存し、微生物に関する技術支援やデータ提供を行っています。今後も、NITEは微生物研究の発展を支えるべく活動を続けていきます。

アカデミックな研究から産業応用まで、次世代微生物同定ソフトウェアの登場は、さまざまな領域での利用につながっていくでしょう。私たちの生活に新しい価値をもたらすため、微生物研究がどのように進展していくのか、今後が非常に楽しみです。


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