不動産の日特集：2025年住宅居住白書が示す市場動向と意識調査

毎年9月23日は「不動産の日」として、日本の不動産業界にとって特別な日です。この日は、より多くの人々に不動産取引の重要性を伝えることを目的として、全国宅地建物取引業協会連合会（全宅連）によって制定されました。2023年もこの日を記念して、全宅連が実施した大規模な意識調査の結果が「2025年住宅居住白書」としてまとめられました。本記事では、その内容を詳しくご紹介します。

2025年の不動産市場の現状

調査によると、2025年の不動産市場は消費者の購買意欲が抑制される要因が見られます。それは、不動産価格の高騰が最大の障壁となっているからです。調査参加者の多くが、「価格が高すぎて手が届かない」と感じており、この理由は49.3%に上ります。この状況は今後、さらに混沌とした不動産市場に拍車をかける可能性があります。

一方で、電子契約の利用が広がっているのも注目すべきポイントです。特に若年層ではその傾向が顕著で、20代では32.6%もの人々が電子契約を利用した経験があると答えています。これは、コロナ禍を経て、テクノロジーを利用しながら不動産取引を円滑に進める意義を再認識させる結果と言えるでしょう。

災害リスクへの意識

また、災害リスクに関する意識も高まっています。調査の結果、33.5%の人が緊急避難場所や防災マップを意識するようになったと回答しており、地震や台風などの自然災害に対する警戒心の強さが伺えます。さらに、築年数や構造（免震・耐震）について考慮する人も33.3%おり、住環境の安全性を重視する傾向は今後も続くでしょう。

消費者のニーズの多様化

消費者のニーズも多様化しています。持ち家派と賃貸派の割合はそれぞれ63.0%、37.0%と、持ち家を持つ人が多くなっていますが、それに伴い住み替えを考える人も増加しています。住み替えを重視するポイントとしては、周辺環境や物件の写真、動画コンテンツの必要性が特に高くなっています。特に動画コンテンツへの関心は前年よりも増加しており、視覚的に情報収集を行う重要性が増しています。

空き家問題とその対策

空き家問題も深刻です。37.0%が自分または家族の家が将来的に空き家になる可能性があると答えており、これは地域社会全体にとっても深刻な問題です。国土交通省が策定した「不動産業による空き家対策推進プログラム」に対する期待も高まっていますが、その認知度は依然として低状況です。空き家を買い取ってほしいという声が多数寄せられており、今後の不動産業界の動向に大きな影響を与えるでしょう。

需給と消費者保護の観点

消費者保護に関する意識調査では、物件の良い点だけでなく、注意点も正直に伝えることが重視されています。このように不動産取引の透明性を求める声も年々高まっており、業界全体の信頼性を向上させるための取り組みが求められています。また、2024年から開始された建築物の省エネ性能を評価する制度についても、その認知度は46.1%に達しておらず、今後の周知活動が不可欠です。

まとめ

全宅連が発表した「2025年住宅居住白書」は、今後の不動産業界の舵取りを考えるうえで貴重なデータを提供しており、市場動向や消費者ニーズを深く理解するために必須とも言える内容です。不動産の日を機に、これらの情報が多くの人に伝わり、より良い住まい選びが進むことを期待しています。詳細な調査結果は、全宅連の公式HPからダウンロード可能です。