2026年の米国臨床腫瘍学会(ASCO Annual Meeting)で、株式会社テックドクターが関西医科大学附属病院と協力し、早期乳がん患者を対象にしたウェアラブルデータを活用した研究の成果を発表しました。この研究は、術前化学療法を受ける患者を対象に、Google Fitbitなどのウェアラブルデバイスから取得した身体活動、睡眠、心拍のデータと、電子患者報告アウトカム(ePRO)を組み合わせ、患者の日常生活下のデータを継続的に収集するものです。
研究の背景
早期乳がんと診断され、術前化学療法を実施する患者が増加していますが、彼らの状態を外来で定期的に確認することは医療において非常に重要です。しかし、従来の方法では、医療機関での一時的な検査が中心であり、患者の日常生活での状態を正確に把握することは困難でした。そこで、ウェアラブルデバイスやePROを活用して、患者のライフスタイルの中で得られる客観的なデータを収集し、解析することが進められています。
研究の概要
本研究の名称は「術前化学療法を開始する早期乳がん患者を対象としたウェアラブルデバイスを用いて身体活動量を評価する前向き観察研究(TRACK-BC)」で、関西医科大学総合医療センターの木川雄一郎教授が責任者を務め、発表者は柴田伸弘講師です。テックドクターは、ウェアラブルデータ収集の基盤を提供し、データの管理および解析を支援しています。
患者のデータ収集と解析
この研究では、術前化学療法を受ける患者から得られた身体活動、睡眠、心拍などのデータをもとに、患者の日常生活の質を向上させるための様々な解析が行われています。ウェアラブルデバイスによって収集されたデータは、患者の健康状態をリアルタイムで把握する手助けになることが期待されており、研究者たちはこのデータを用いて、患者の体調変化や有害事象の早期発見に努めています。
社会に与える影響
近年、がん治療の外来化が進んでおり、患者は日常生活を維持しながら治療を継続することが求められています。このことから、患者の状態をきめ細かく把握するための新たなアプローチとして、ウェアラブルデバイスやePROが期待されています。また、研究結果の透明性を保ちながら、一般の人々や医療現場に向け実践的な情報を提供することも重要です。
テックドクターでは、ウェアラブルデータを活用した新しいヘルスケアモデルを構築していく方針です。この研究の詳細は、日本国内外での学術発表や論文として今後発表される予定です。
学会発表について
この研究の発表は、2026年5月29日から6月2日にかけて開催される米国臨床腫瘍学会の年次総会において行われます。現地とオンラインの両方で発表形式を行い、幅広い医療関係者に対して新たな知見を提供することが期待されています。公式サイトには、詳細情報が掲載されています。
テックドクターは、医療・製薬・食品産業と連携しながら、デジタルバイオマーカーの開発や社会実装に向けたプロジェクトを進め、より良い患者ケアの実現に向けて取り組んでいます。デジタルバイオマーカーとは、日常生活のデータから病状を測定する新しい指標であり、今後の医療分野での活用が見込まれています。特に、運動、睡眠、心拍などを元にした早期発見や治療モニタリングに対する期待が高まっています。