常陽銀行、人的資本投資のROI分析を有報に開示し新たな価値創出へ

常陽銀行、人的資本投資の新しい潮流

最近、常陽銀行がIGSの提供するスキル測定ツール「GROW」を用いて、営業担当者のスキルと営業成績の関係を定量的に分析した結果が注目を集めています。この結果は、同銀行の2025年3月期有価証券報告書において開示され、人的資本の可視化が金融業界における新たなスタンダードになる可能性を秘めています。

スキル測定ツール「GROW」とは

GROWは、企業が従業員の能力を評価し可視化するためのツールで、約1,500名の営業担当者を対象にスキル測定を実施しました。このデータは、営業成績との関係性を統計的に分析するための基盤となります。具体的には、スキルが1段階上昇することで、法人部門では約12%、個人部門では6%ほど営業成績が向上することが確認されました。また、特定の研修や資格取得がスキル向上に寄与する傾向も見られ、今後の人材開発戦略に大きな影響を与えるでしょう。

人的資本開示の義務化と企業の挑戦

2023年から、有価証券報告書において人的資本に関する情報開示が義務化されました。これにより、企業は「人材戦略」や「多様性」など非財務領域の取り組みを外部に示す責任を負います。しかし、まだ多くの企業が理念や方針の開示にとどまっており、実証的データの提示は限られています。そんな中、常陽銀行の取り組みは一つの先行事例として評価されており、他の企業にも影響を与えることが期待されます。

経済的成果を示す一歩

常陽銀行の開示は、人的資本への投資が「費用」ではなく「資産」として捉えられる新たな視点を提供しています。GROWを活用することで、企業は人的資本のROIを明確に定義することが可能になり、その成果を経営判断や人材施策に活かせるデータとして活用できるのです。また、人的資本投資が企業価値にどのように貢献するかを示すことで、投資家からの評価も向上すると期待されます。