建設業界が直面する2025年問題とその現状について
日鉄物産システム建築株式会社が実施した「建設業界における2025年問題の影響に関する調査」の結果が発表されました。この調査では、全国のゼネコンを中心にした793名の会員が対象に、建設業界が直面している深刻な課題が明らかになりました。特に注目すべきは、高齢化の進展による危機感と若手人材の確保がいかに難しいかという点です。
現場の高齢化に対する危機感
調査結果からは、95%の参加者が「現場の高齢化に危機感を感じている」と回答しました。これは、現場で活躍するベテラン技術者の多くが引退を控えているため、ノウハウの継承が進まないという懸念を示しています。特に、過去30年で業界全体の平均年齢が10歳も上昇したことから、実際の業務においても年齢による制約が目立つようになっています。
ノウハウ継承の壁
また、81%が「現場のノウハウ継承(世代交代)ができていない」と回答し、様々な会社で共通して見られる課題が浮き彫りになりました。長年の経験を積んできたベテランが大量に辞めていく中、若手人材が不足しているため、必要なスキルや知識が次世代に受け継がれないというのは大きな損失です。さらに、デジタル化が進む現場でアナログな作業が多く残る状況が、この課題を一層難しくしています。
若手人材確保の厳しさ
さらに調査結果によると、半数を超える企業が「若手人材の採用目標に届いていない」とのことです。現場では労働者が不足しているにもかかわらず、建設需要が高まっているという葛藤が、企業にとって深刻な問題を引き起こしています。特に未経験者の採用が主流となっていることから、育成に対する負担が増加し、定着率を上げることが難しくなっています。
職場環境の改善
こうした状況を受けて、半数以上の企業が「勤務時間・休日数」と「給与体系」の見直しに取り組んでいることが分かりました。建設業界の「3K」の印象を払拭し、魅力的な職場環境を整えることが喫緊の課題となっています。2024年4月からの労働時間上限規制に伴い、労働条件の改善が進み、これが人材の確保や職場の定着率向上に寄与することが期待されています。
システム建築の利点
調査において、システム建築が高齢化や若手育成に役立つという意見が多く、半数以上がその効果を評価しています。システム建築とは、設計から施工までをシステム化し、建築部材の標準化を進める工法で、このアプローチにより現場作業の効率化が図られると共に、技術の浅い若手でも業務を担いやすくなる利点があります。
今後の展望と対策
日鉄物産システム建築の営業管理センター長、廣本英雄氏は「2025年問題」に直面する業界全体の課題を強調し、構造的な問題を克服するため、業務プロセスの見直しや新技術の導入が必要であると述べています。また、同社によるシステム建築の取り組みは、現場の人手不足を解消するための一助になると期待されています。
まとめ
2025年問題は、団塊世代の大量退職に伴う労働人口の減少が背景にあり、建設業界にとっては大きな危機です。しかし、逆境を乗り越えるための戦略や取り組みが進んでいることも事実です。若手人材の確保や技術の継承、職場環境の改善に向けた取り組みが、今後さらに加速することが望まれます。日鉄物産システム建築は、業界の持続的な発展と課題解決のための施策を引き続き推進していくでしょう。