ロンドンの光通信インフラで毎秒450テラビット伝送の成功
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)を中心にした国際共同研究グループが、英国ロンドンで行った実証実験によって、毎秒450テラビットの光ファイバ通信が実現しました。この成果により、既存のインフラを用いての伝送能力が大幅に向上し、技術革新の新たな道が開かれました。
今回の成果について
実験は、University College London(UCL)とTelehouse Northデータセンター間を接続する、ロンドン市内に敷設されている光ファイバを使用しました。新たに開発された伝送システムは、O帯、E帯、S帯という新しい波長帯と、従来のC帯やL帯の波長を統合し、42.4テラヘルツの周波数帯域を利用して、過去の記録を上回る成果を収めました。
このプロジェクトは、従来の商用光通信システムで使われている約10テラヘルツの波長帯に加え、新しい波長帯を追加することで、利用可能な周波数帯域幅を4倍以上に拡張しました。その結果、光ファイバの伝送能力は、以前の記録である毎秒430テラビットを超えるという快挙を達成しました。
実験の背景
近年、AIをはじめとする新しいサービスや技術が進化し、超大容量通信ネットワークの必要性が高まっています。この需要に応えるため、マルチバンド波長多重(WDM)技術が研究され、既存のインフラを利用する方法が模索されています。
特に都市部では、新たに光ファイバケーブルを敷設することが難しく、既存インフラを最大限に活かす手法として注目されています。
フィールド実証の意義
今回のフィールド実証は、単なる実験室内での成果ではなく、実際に運用されている光ファイバにおいて行われたため、その成果には大きな意義があります。実際の環境でのデータ伝送は、実験室とは異なる厳しい条件下であるため、成功が非常に重要なステップとされています。
具体的には、光ファイバの損失は実験室のものよりも高く、影響を受けやすい条件が整っています。今回の試みでは、光信号を光ファイバで39キロメートル往復伝送し、毎秒450テラビットのデータレートを確認しました。これにより、従来の技術を大きく凌ぐ実績が得られたのです。
今後の展望
NICTはこの技術を基に、さらなる周波数帯域の拡張や新しい伝送技術の開発に取り組み、将来の通信需要に対応するための次世代通信ネットワークの構築を目指しています。通信インフラの大規模な更新や投資を必要とせずに、既存の設備を最大限に活用することが可能になるというのは、社会全体にとっても大きなメリットとなるでしょう。
この実験結果は、米国ロサンゼルスで開催された光ファイバ通信国際会議(OFC 2026)においても高く評価され、最優秀ホットトピック論文として採択されました。これにより、今後の研究に向けた注目と期待が集まっています。
以上の成果から、光通信の未来がますます明るく、多様なサービスが実現する日が近づいていることを感じさせます。