宇都宮市におけるデジタル請求書の導入背景
栃木県宇都宮市は、デジタル技術を活用して行政の効率化を図るための「宇都宮市DX実現タスク」を策定しました。市民の生活をより快適にするため、デジタルサービスの強化と行政手続きのオンライン化を目指しています。しかし、年間約6万件にも上る請求書が紙での処理を余儀なくされ、デジタル化の恩恵を十分に享受できていませんでした。
請求書の処理時間は平均23分もかかり、関連書類のスキャンや保管にも手間がかかりました。それに加え、ExcelやPDFの請求書では押印漏れや誤記入が発生し、確認作業が業務の効率化にとってのネックとなっていました。そこで、2025年3月に導入を決定したのが「BtoBプラットフォーム 請求書」です。
導入を決めた理由
宇都宮市は、すでに利用している財務会計システム「IPKNOWLEDGE 財務情報」(富士通Japan提供)を基盤にした電子決裁システムとの連携が取れる点が、このクラウドサービス導入の決め手となりました。さらに、栃木県庁がすでにこのサービスを導入していたため、県内の取引事業者と同じプラットフォームを利用することで混乱を避けることができると考えました。
導入後の効果
「BtoBプラットフォーム 請求書」の導入により、受領から決裁までの処理時間は23分から8分に短縮されました。これにより、紙の請求書に伴う仕分けやスキャン、ホチキス留めといった手間がゼロになり、確認作業にかかる時間も削減されます。初年度には7,500件の請求書を取り扱うことで、年間1,875時間の時間節約が期待されます。また、年間12万枚もの紙請求書を取り扱っていたことも、デジタル化により大幅に削減され、より生産的な業務環境へと変わりました。
今後の展望
今後の展望としては、電子請求書の浸透を図るための事業者登録の拡大が重要です。2025年7月までには約1,500社への案内を予定し、現在の約450社からの利用者増加を目指します。未登録の事業者に対しては、利用への障壁を調査し、個別に対応することで、今回の導入をさらに推進する必要があります。
請求書以外のデジタル化も視野に入れ、見積書作成から請求書発行までのプロセスを一貫して電子化するための「BtoBプラットフォーム TRADE」の検討も開始しました。これにより、より多くの事業者にとって便利な環境が整い、自営者の登録と利用率が向上することを期待しています。
まとめ
宇都宮市の「BtoBプラットフォーム 請求書」の導入は、デジタル化がもたらす効率化の一例に過ぎませんが、この取り組みが他の自治体や事業者に対する良いモデルとなることを願っています。今後も、デジタル革新は私たちの業務を大きく変えていくことでしょう。