DX推進で浮かび上がる業務課題と解決策を探る

近年、企業ではデジタルトランスフォーメーション（DX）が個々の業務改善のカギとして注目されていますが、その実態が一様ではないことがトヨクモ株式会社の調査から明らかになりました。本記事では、kintoneを利用したデジタル契約業務における問題点と解決方法を探ります。

調査概要と結果

トヨクモは、kintoneを使用する企業の契約業務担当者106名を対象に、「契約業務の実態調査」を実施しました。この調査で浮かび上がったのは、ツール間の連携不足がもたらす二重管理や誤情報の流通です。具体的には、約40％の担当者が「情報の二重確認」を義務づけられ、さらに23.6％が不安からExcelでの手動管理を行っていると報告されています。

生産性のパラドックス

調査結果によると、39.6％の企業は、kintoneと電子契約のシステムが分断されているため、両方を確認せざるを得ない状況です。こうした状況下、特に問題となるのは、46.2％が「月に数回以上」の二重確認をしていることです。本来ならば高機能なSaaSを利用して業務を効率化できるはずが、余計な確認作業がボトルネックとなっています。

システムの不全が招くシャドーIT化

最も懸念されるのは、システム分断がもたらす「シャドーIT化」です。4人に1人がExcelを用いて契約更新日などを管理していることが確認され、公式なシステム外に独自の管理書が作成される事態が起こっています。これにより、データの属人化や更新漏れといった重大なリスクが高まります。

法務リスクの顕在化

また、50.0％の担当者が「どのデータが最新か不明」という状態にストレスを感じており、これは誤った情報への依存を生む危険性があります。こうした不整合は、法務ガバナンスの観点からも看過できない問題です。

解決策へのアプローチ

トヨクモの代表取締役社長、山本裕次氏は、この調査結果を踏まえて「Excel管理への逆戻りは、業務の進行を妨げる要因だ」と述べています。彼は、kintoneと電子契約をシームレスに連携させるサービスの重要性を強調し、具体的には kintone連携サービス『PrintCreator』を推奨しています。これにより、契約書の生成から締結までをワンクリックで完結でき、業務の非効率が解消されるでしょう。

DXの先への進化

トヨクモの調査は、単なるツール導入からデータの「統合」フェーズへの進化が必要であることを示唆しています。特に契約業務などクリティカルなエリアでは、システムの統合が生産性向上に直結します。これによって、kintoneはただのデータベース以上の存在となり、企業業務全体を加速させる「ビジネスOS」へと進化するのです。