2025年初任給調査から見る新社会人の金銭感覚と世代間ギャップ
パーソルキャリア株式会社が運営するJob総研が実施した『2025年初任給実態調査』の結果が発表されました。この調査は、新たに社会人となる2025年卒の人たちと、すでに社会人2年目以上の人たちの初任給額やそれに対する印象、使い道について比較したものです。
新社会人の初任給額が上昇
今年度の新卒者の中には、初任給が30万円台に引き上げられた企業もあるとのニュースが話題になりました。物価高の影響もあり、企業が判断を迫られた結果とも言われています。一方、先輩社員の中には、自分たちよりも高い初任給をもつ新社会人に対する戸惑いや不満の声も挙がっています。過去に行われた調査では、2022年の新入社員の初任給は平均23.6万円でした。今回の調査では284人の社会人が対象になり、新社会人の初任給額やその印象、使い道が比較分析されました。
調査概要
- - 調査対象者: 現在職を持つJobQ Town登録者
- - 調査条件: 全国、男女、20〜50代
- - 調査期間: 2025年4月15日〜16日
- - 有効回答数: 284人
- - 調査方法: インターネット調査
重要なトピック
今回の調査からは、以下のような興味深いデータが得られました。
- - 新社会人の初任給額: 最も多かったのは25万円〜29万円(42.3%)で、平均額は26.6万円。
- - 社会人2年目以上の初任給額: 最も多かったのは20万円〜24万円(50.4%)で、平均額は20.8万円。
- - 初任給の印象: 新社会人の86.2%が「高い印象」と回答。一方、社会人2年目以上では54.6%が「低い印象」です。
- - 初任給の使い道: 両者とも「貯金」が上位でしたが、新社会人は「自己投資」への関心が高いことも分かりました。
初任給の使い道にみるギャップ
新社会人が初任給の使い道に関して「貯金」が37.4%、次いで「親へのプレゼント」が36.6%と他の用途も多く挙げています。これに対し、社会人2年目以上の意見では「貯金」が55.9%を占める結果になりました。両者の間での意識の違いが浮き彫りになります。
新社会人は、初任給を利用して「思い出に残る経験」に投資したいというコメントが目立つ一方、既存社員は「お金の価値」を理解するにつれて、消費を控える傾向が強まっているようです。特に、社会人2年目以上の方々からは、初任給を「洋服に全額つぎ込んだ」という後悔の声もあがっていることが印象的です。
調査結果の意義
この調査結果から、世代による金銭感覚の違いや時代の変化が明確にあらわれていることが確認されました。「初任給30万円」という基準は新社会人にとっては魅力的である一方、社会人2年目以上には以前の経済状況からのギャップを感じさせる要素となっています。今後、物価がさらに高騰していけば、企業はさらなる初任給の見直しを迫られることも考えられます。
まとめ
今回の調査は、初任給をめぐる世代間の認識や価値観の違いを明らかにしました。将来へ向けた「自己投資」と「現在の生活費」など、それぞれの世代が求めるものが異なる時代の中で、企業も新社会人への支援やコミュニケーションのあり方を考え直していく必要があるのかもしれません。
Job総研は、これからも「はたらく」ことにまつわる様々な調査を行い、個人の選択の幅を広げる活動を続けていきます。