介護・障害福祉現場におけるAI活用実態と従業員満足度の関連性
はじめに
株式会社パパゲーノが運営する「パパゲーノAI福祉研究所」が発表した調査報告書によれば、介護・障害福祉の現場でのAI活用が増えていることが明らかになりました。特に、明確なAI利用ルールの整備が従業員の満足度向上に寄与する可能性が高いとされています。
調査概要
本調査は2025年11月25日から12月6日までの間に行われ、介護・障害福祉に関連する184人の従業員から得られたデータをもとに実施されました。
1. 調査結果の要点
調査結果の一部を以下に示します。
- - AI利用経験者: 生成AIを活用した経験がある人は約48.2%、そのうち、44.4%は個人で無料版のAIを利用しています。
- - ルール整備の欠如: 職場でAI利用のガイドラインがあるのはわずか19.8%。これに対し、約80%の職場ではルールが整備されていない状況です。
- - 上司への報告状況: 生成AIの利用について上司に報告・相談している人は41.4%にとどまっています。
2. 従業員満足度の分析
驚くべきことに、従業員満足度(eNPS)が年収アップよりもAI活用ルールの整備によって約2.2倍も向上することがわかりました。この結果は、「AIの利用が従業員の仕事にどれだけプラスになっているか」という観点から非常に重要です。
多くのスタッフは、AIを正しく使うためのルール整備が不十分であることから、ストレスを感じていることが考えられます。特に社会福祉法人や医療法人において、このことが従業員満足度の低さに繋がっている可能性が示唆されています。
3. 生成AIの利用状況
AI利用の主な目的は、プライベートな趣味や簡易な作業、自力での記録や計画書作成に利用されていることがわかりました。また、全体の71.2%が週1回以上AIを利用していますが、これが全体の感覚として正しいかは不明です。
4. AIの研修ニーズ
驚くことに、92.9%の人々がAIの使い方を学ぶ必要性があると感じており、88.3%がAI関連の研修に参加したい意向を持っています。このデータは、現場で働くスタッフがAIの正しい利用法を徹底的に学びたいという意欲を明確に示しています。
まとめ
介護・福祉現場においてAIの導入が進む中、ルールの整備が重要であることが再確認されました。「パパゲーノAI福祉研究所」が提言するように、組織内でのAI活用ルールを明確にし、適切な研修機会を提供することで、従業員満足度の向上を図ることが期待されます。情報発信や研修プログラムにおいて、現場の従業員の声を反映させることが求められるでしょう。