東日本大震災から15年、建設業界の職人不足が問う未来の復旧力
今年の3月11日、東日本大震災から15年の節目を迎えました。この災害から多くの教訓が生まれ、建設業界は復旧・復興の重要な役割を担ってきました。しかし、最近の調査結果はこの業界が直面している深刻な人材不足の実態を浮き彫りにしています。
人材不足の現状
株式会社ワールドコーポレーションが行った「建設業の職人に関する実態調査」によると、調査に参加した600名の経営者や管理職の62.5%が「大規模災害時に十分な復旧対応ができない」と回答しました。また、約75%が「若手職人が不足している」と認識しており、かつ56.8%が「10年以内に職人の3割以上が引退する」と予測しています。この結果から、多くの企業が抱える「若手職人の流入不足とベテランの引退」という相反する側面が明らかになりました。
機会損失の現状
7割以上の企業が職人不足を理由に工事の受注を断ったことがあると回答し、この問題が単なる未来の懸念ではなく、今現在の業務運営に深刻な影響を及ぼしていることが分かります。企業の中には、「賃金引き上げ」などの方策を講じているものの、実際には8割以上が期待通りの効果が得られていないという状況です。賃上げは一つの解決策とされますが、具体的な採用効果を生まない現実は、業界全体の待ったなしの状態を示しています。
事業の持続性への懸念
さらに、71.2%の企業が「今のペースで職人が減少すれば10年後の事業継続が難しい」と考えており、これはもはや短期的な課題ではなく、建設業界全体の持続可能性に関わる深刻な問題となっています。人口減少社会における採用難は、建設業だけでなく広く日本経済全体に波及する懸念があります。
復旧対応力への影響
特に注目すべきは、6割以上の回答者が「災害時に十分な復旧対応ができない」との答えを示した点です。社会インフラの復旧は、国民生活の基本を支える重要な業務です。そのため、このまま人材不足が続くことで災害発生時に地域住民の生活に直結するリスクが大きくなってしまいます。人材確保が急務であることは明白です。
業界全体での取り組み
株式会社ワールドコーポレーションも、大手建設会社やメーカーと連携しながら未経験者の採用促進や教育に力を入れています。また、一般社団法人全国建設人材協会(全建)は、職人を紹介することで業界の人材の流動性を高めており、ダイレクトリクルーティングサービス「職人スカウト」の開始を2025年に予定しています。これにより、若手職人の早期採用を促進し、業界全体の底上げを狙っています。
未来への道筋
建設業界の持続可能性を確保するためには、企業単位だけでなく、業界全体での取り組みが必要です。人材不足は個々の企業にとどまらず、日本全体の基盤を揺るがす構造的な問題です。この問題を解決することで、復旧力を高め、災害に強い社会を築くための一歩を踏み出さなければなりません。これからの15年、さらにその先の未来を見据えた構造改革が求められています。