大木毅著『天才作戦家マンシュタイン』が特別賞受賞
2025年11月16日、著者の大木毅が『天才作戦家マンシュタイン「ドイツ国防軍最高の頭脳」――その限界』で第11回「猪木正道賞」の特別賞を受賞しました。このたびの受賞は、猪木正道賞基金主催の授賞式で発表され、大木氏の作品がいかに重要な位置を占めているかを象徴するものとなりました。
受賞にあたり、大木は「猪木正道先生を顕彰する賞をいただき、非常に光栄に思います。安全保障を考える上で、戦史・軍事史の知識が重要であり、その一助として本書が評価されたことは名誉です」と述べました。彼の言葉からは、戦史の重要さに対する真摯な姿勢が伝わってきます。
書籍の内容
『天才作戦家マンシュタイン』は、ドイツ国防軍の戦略家マンシュタインの全貌を描いた作品で、著者自身が集めた最新の研究成果を基にしています。この本は、大木氏が角川新書から刊行したシリーズの最終作であり、前作『「砂漠の狐」ロンメル』や『戦車将軍グデ―リアン』とも連携して、ドイツ軍の戦略を深く掘り下げています。
マンシュタインは、第二次世界大戦の戦局を大きく左右したことで知られる天才的な軍事指揮官です。その成功の影には、フランス降伏を早期に実現した巧妙な作戦計画や、グデーリアンを圧倒する戦術、クリミア地区の攻略成功があります。彼はその戦略眼で連合軍から恐れられた存在でありつつ、一方でナチスの戦争犯罪に対する姿勢も批判されています。この曖昧な立ち位置が、彼に対する評価の複雑さを際立たせています。
マンシュタインが行った数々の作戦は、彼の軍事的知性を証明するものです。彼は、ウクライナの戦場においてもその能力を発揮し、ドイツ軍を優位に導く役割を果たしました。その戦略体系は、戦略・作戦・戦術という三つの層をまたぐものであり、特に劣勢を覆す巧妙な手段は、彼の名声を不動のものとしました。
受賞の背景
猪木正道賞は、防衛・安全保障に貢献した優れた業績を称えるために設立された賞です。大木氏の受賞は、多くの人々が彼の著作から安全保障に関する理解を深めていくことに対するメッセージでもあります。
また、この作品は現代における戦争の理解に新たな視点をもたらすもので、単に歴史を振り返るだけではなく、私たちが現在直面している問題にも適用できる教訓を提供しています。実際、戦史の理解は現代の安全保障政策を考える上でも重要な意味を持つため、この書籍は時間を超えた重要性を持っています。
大木毅について
大木毅は現代史家であり、豊富な歴史研究の経験を持っています。東京生まれで、立教大学大学院での学びを経て、著述業に専念しています。彼の著作には『「砂漠の狐」ロンメル』や『戦車将軍グデ―リアン』など、多数の戦史関連の書籍が並び、歴史好きや学問好きに広く支持されています。
最新の著作『天才作戦家マンシュタイン』は、彼の研究成果の集大成であり、戦争の複雑な真実をさらに深く理解する手助けをしてくれるでしょう。出版は2025年6月10日で、現在予約も受け付けています。
まとめ
この度の受賞は大木毅のこれまでの活動と研究への高い評価を示すものです。彼の新しい視点からの戦史の探求は、多くの人々にとって興味深いものとなるでしょう。また、戦争の背景やその影響を理解する手助けとして、本書は今後の軍事や歴史研究において欠かせない一冊となるに違いありません。