ギリアドとKite、ESMO 2025でがん治療の新たなる進展を発表

2025年10月17日から21日、欧州臨床腫瘍学会（ESMO）年次総会で、ギリアド・サイエンシズとその子会社であるKiteが、がん治療の革新に向けた重要なデータを発表する予定です。今回の発表は、特に転移・再発トリプルネガティブ乳がん（TNBC）における一次治療の選択肢を大きく変える可能性があります。

トロデルビによる治療の新たな展望

ギリアドが自社の治療薬「トロデルビ」（サシツズマブゴビテカン）について、最新の第III相ASCENT-03試験の結果を発表します。この試験では、PD-1/PD-L1阻害薬の適応がない転移・再発TNBC患者に対するトロデルビの効果を評価しました。結果は、化学療法に比べて有意に無増悪生存期間（PFS）を改善したことが示唆されています。トリプルネガティブ乳がんは、過去20年間で最も診療が進まなかった領域の一つであり、これまでにない治療の進展が期待されています。

TNBCの新しい治療アプローチ

さらに、ASCENT-04/KEYNOTE-D19試験では、PD-L1陽性の転移・再発TNBC患者を対象にした新たなデータも発表される予定です。この試験では、トロデルビと「キイトルーダ」（ペムブロリズマブ）の併用療法が評価され、患者の生活の質にも焦点が当てられます。これにより、今後の治療選択肢が広がる可能性が高まっています。

胃がんへの新たな取り組み

ギリアドとArcus Biosciencesの共同研究では、転移もしくは手術不能な進行胃がんおよび食道がんの一次併用療法に関する研究結果も発表されます。第II相EDGE-Gastric試験のデータによると、半数以上の患者が2年以上生存したとのこと。これにより、今後の治療戦略において重要な意味を持つ結果となり得ます。

研究の発表と今後の展望

2025年のESMO年次総会では、さまざまながんの治療に関する重要な結果が多数発表される予定です。特に、トロデルビ、Domvanalimab、Zimberelimabの新たな臨床データは、がん治療の未来を大きく変える可能性を持っています。医療現場での応用に向けて、患者のアウトカムを向上させるための取り組みが続けられています。

各国で新たな治療法が推進される中で、がんの治療における知識や選択肢がさらに充実していくことでしょう。特に、これらの新薬に関する研究結果が、今後の医療現場にどのように生かされるか、私たちは注目していきたいと思います。