エンタメ体験探求
2025-09-08 13:36:42
消費者のエンターテインメント傾向:ローカルとライブ体験が人気の理由
EYが発表した「メディア・エンターテインメント動向調査」によると、近年の経済の変動にもかかわらず、消費者はローカルおよびライブのエンターテインメント体験を求める傾向が強まっています。この調査は、過去一年間でのエンターテインメント商品購入状況をもとに、世界中の消費者の心理を探るもので、特にテクノロジーの活用が重要な要素として浮かび上がりました。
調査対象として米国、英国、西欧、アジア太平洋地域の4,000人以上が選ばれ、クルーズやテーマパーク、スポーツイベント、ライブエンターテインメントなど多様な体験型エンターテインメントが取り上げられました。結果として、ローカルエンターテインメントが48%、ライブエンターテインメントが46%という高い購入率を示したことが明らかになりました。このデータは、実世界での体験が依然として人気であることを示しており、今後1年間で支出を増やすと回答した人も21%に達しました。
地域ごとの違いにも注目が集まり、米国ではカジノへの関心が特に高く、66%の消費者が今後12カ月内に訪問する意向を持っています。アジア太平洋地域でもテーマパークへの関心が高く、74%が訪問したいと考えています。このようなエンターテインメントの選好は、消費者の生の体験を求める感情に支えられており、特に若い世代はその傾向が顕著です。
テクノロジーの重要性も調査結果の中でハイライトされています。年齢を問わず、多くの消費者が、デジタルチケット、地図案内、非接触型決済といった機能を便利だと評価しており、特にZ世代はこれを一層重視しています。例えば、66%のZ世代がテーマパークのファストパスや優先入場券を購入する意向を示し、全体の59%を上回る結果となっています。また、購入時に重視する要素としては、価格に見合った価値が59%で最も高く、低所得者層は特にこの傾向が強いことが分かりました。
さらに、コストが楽しむ上での最大の障壁であることも明らかにされ、52%の消費者がその影響を挙げています。特にZ世代は、清潔感を重視する傾向もあり、この年代の特有のニーズが示されています。
また、プレミアムオプションへの需要は依然として高まっており、調査対象者の49%が大型テーマパークを訪れた際にアップグレードを行っていることが分かりました。日本でも、東京や大阪のテーマパークでのプレミアム体験の需要が高まっており、来場者数が増加しています。
若い世代は、サステナビリティの側面にも敏感で、特に地元産の食材や地域への貢献に対して追加費用を払うことに対して非常に前向きです。これに対し、調査によれば、Z世代は他の年齢層に比べて26%以上の追加費用を支払う覚悟があることが示されています。
EYのメディア・エンターテインメントセクターリーダー、Javi Borges氏は、「経済が不安定な状況でも、消費者は没入型の体験を求め続けている」とコメントしています。今後、エンターテインメント事業者はこの需要に応えるために、消費者の動機や好みを理解するとともに、テクノロジーを駆使して期待に応えることが重要となります。日本は世界に誇るアニメやアーティストを持っているものの、これをビジネスに結びつける仕組みを強化する必要があると指摘されています。これにより、日本のエンターテインメント産業の成長を後押しできる可能性があるでしょう。例えば、沖縄で開業したテーマパークでのプレミアムパスやスパ利用がその好例です。若い世代とサステナビリティを考えた需要の特性を念頭に置くことが、今後のエンターテインメント体験を形成する上で重要でしょう。