英語スピーキング力を高めるカギ、定型表現の重要性
英語のスピーキング能力を向上させたいと考える際、定型表現の使用が大きなカギを握っていることが最近の研究で分かりました。特に、アメリカ英語において日常的に使われる簡単なフレーズが流暢さの評価に寄与することが明らかになったのです。
定型表現とは何か?
定型表現は、特定の言い回しとして頻繁に使われる2語以上のフレーズを指します。これにより、話し手はより自然に流暢に話すことができ、聞き手も内容を理解しやすくなります。例えば、"at the end of the day"や"I mean"といったフレーズがその例です。
研究の背景と目的
早稲田大学の研究者である瀧澤嵩太朗氏と鈴木駿吾氏は、スピーキングの流暢さにおける定型表現の影響を調査しました。この研究の目的は、話し手の流暢性を測定する際に、音響的な特徴(スピードや沈黙の頻度など)を考慮することで、聞き手が流暢さをどのように評価するのかを探ることでした。
他の研究では、流暢さの判断が話し手の発話にどのように影響しているのかが明らかになっていましたが、定型表現の使用との関連性については十分な議論がありませんでした。
研究の方法
研究には110名の日本人大学生が参加し、彼らは「スマートフォンの利点と欠点」について自由に英語で意見を述べるというタスクが与えられました。発話は録音され、様々な要素が分析されました。話すスピードや沈黙の回数、フィラー(つなぎの言葉)の使用などが計測されました。
結果
その結果、話し手の発話の流暢性が聞き手の評価に対して約61%の寄与があることが分かりました。また、残りの39%のうち、高頻度の2語連鎖の使用によっておおよそ0.8%の流暢さの向上が説明されることが示されました。つまり、日常で使われる簡単な定型表現の使用が、聞き手から見た流暢さの評価をわずかに高めることが明らかになったのです。特定の難しい定型表現が必ずしも流暢さに寄与するわけではなく、逆に普段使う簡単なものが重要であることを示唆しています。
研究の意義と今後の展望
本研究は、英語を学ぶ学生にとって、流暢なスピーキングスキルを向上させるために、難しい表現よりも日常的な定型表現の習得がいかに重要かを示しています。特にTOEFLやIELTSのスコアを向上させるための有用な示唆となるでしょう。
ただし、定型表現の使用が流暢さに寄与する影響は微小であるため、他の要素と組み合わせた総合的な学習が求められます。
将来的には、さまざまなスピーキングタスクにおける定型表現の使用が流暢さに与える影響について、さらなる研究が重要とされています。さらに多様なシチュエーションでの調査を行い、実際のコミュニケーションにおける定型表現の重要性を解明していくことが期待されます。
まとめ
「英語を話すには中学校で学習するレベルで十分」と言われがちですが、流暢さを高めるためには簡単で使いやすい定型表現を適切に使うことが求められています。この研究結果が、未来の英語学習者や教育者にとっての指針となり、役立つことを願います。