賃貸マンションにおける宅配ボックスの現状
近年、オンライン購買の普及に伴い、宅配便の需要が急速に高まっています。しかし、宅配便の受け取りに関する問題も同時に浮上してきました。特に、再配達の頻発は配達業界において大きな課題となっています。株式会社LIFULLが最近実施した調査によると、全国の賃貸マンションの約7割が宅配ボックスを設置していないことが明らかになりました。この結果は、受け取りに関する新たな解決策「置き配」の導入促進に繋がる一方で、住環境におけるセキュリティや利便性の課題も浮き彫りにしています。
1. 宅配ボックス未設置の実態
LIFULL HOME'Sによる調査では、66.3%の賃貸マンションが宅配ボックス未設置であることが判明しました。特に、オートロックが設置されている物件では、配達員が入館できず、荷物の直接受け取りがさらに難しくなります。このような状況下で、宅配ボックスの設置率は47.6%と高めですが、今後の設置拡大が求められています。
2. オートロックと宅配ボックス
賃貸マンションにおいて、オートロックの設置率も注目されます。調査によると、宅配ボックス未設置かつオートロックがある物件は、全体の19.5%となります。これは、入口部分でのトラブルの可能性を示唆しており、配送の効率や顧客満足度を下げる要因になりえます。築年数によっても特徴があり、築30年を超えた物件の実に90%が宅配ボックス未設置であることが分かりました。
3. 築年数と設置状況
築年数に応じた設置状況の分析からも、宅配ボックスとオートロックの設置率には諸所の違いがあります。築15年以下の物件では8割以上がオートロックを装備していますが、古い物件程その設置率が減少します。この差異は、宅配ボックス未設置ながらも、オートロック設置された物件には住みづらさが潜む理由とも言えるでしょう。
4. 置き配の普及に向けて
国も再配達削減に向け、「置き配」を導入する方針を打ち出しています。荷物を自宅の指定場所に置いて配達するこのシステムを活用することで、よりスムーズな受け取りが実現できるのですが、オートロックがある場合、配達員が個別に荷物を置くことが困難です。この問題を解決するためにも、宅配ボックスの普及が必要であり、代替手段としてはコンビニ受け取りや宅配ロッカーの活用が推奨されています。
5. 経済効率と社会的課題
コロナ禍以降、宅配便の取り扱いは急増しましたが、再配達の増加は経済的にも環境的にも悪影響を及ぼすことが懸念されています。再配達には多大なコストがかかり、環境への負荷が増加するため、宅配ボックスの設置を進めることが急務です。LIFULLの調査結果は、今後の賃貸マンションにおける課題解決の一助となるでしょう。
宅配ボックスは、賃貸マンションにおける新たなライフスタイルの一環として捉えられるべきであり、より住みやすい環境を整えるための重要な設備として、今後の普及が強く期待されます。