岡山大学が目指す子宮頸がん治療の新展開
国立大学法人岡山大学は、子宮頸がん患者に新たな治療法を提供することを目指しています。これまで子宮を摘出されることが避けられなかった多くの患者にとって、希望の光となるかもしれません。この新しい治療法は手術前に抗がん剤を使用することで、腫瘍を縮小させ、その後の手術によって子宮を温存することを目指します。
新治療法の概要
岡山大学の医歯薬学域に所属する研究チームは、子宮頸がんの中でも特に進行したIB2期、IB3期の患者を対象にした新しい治療法の開発に取り組んでいます。この治療法の大きな特長は、抗がん剤による前治療を施すことで、験者の子宮を傷つけることなく、がんを克服できる可能性を大幅に高める点です。
長尾教授は、「子宮頸がんと診断された場合、特に若年患者にとって将来の妊娠は大きな関心事です。この新しい治療法が確立されれば、未来の母親たちに新たな道を開くことができるでしょう。」と語ります。
治療の流れ
新しい療法のステップは以下の通りです。
1.
術前抗がん剤療法: 患者には、手術前に抗がん剤が投与され、腫瘍を縮小させるためのアプローチを取ります。
2.
手術: 抗がん剤によって腫瘍が縮小した後、医療チームは腫瘍を除去するための手術(円錐切除術など)を行います。
3.
妊娠の可能性: 治療後に再発が確認されない場合、患者は妊娠を目指すことが可能になります。
このアプローチは、安全性が確認されれば、世界初の本格的な治療法として注目されるでしょう。かつては摘出が必要とされていた患者たちにも希望をもたらす新たな治療法の先駆けとなることが期待されます。
研究背景と意図
この治療法を開発する過程で、岡山大学は国際的な基準を重視し、患者への安全性を第一に考えています。これにより、患者からの信頼を得ることを目指します。長尾教授は、「将来的には、子宮頸がんに罹った若い患者たちが自分の体についての選択肢を持ち、希望をもち続けることができる社会を実現したい」と述べています。
患者募集開始
2025年6月1日より、研究に参加する患者の募集が始まりました。また、今年の6月17日には、岡山大学にて研究内容の発表が行われ、多くの報道関係者に取り上げられました。
この新しい治療法が医療の現場に広がることで、子宮頸がんと闘うすべての女性が将来的に母親になる選択肢を持つことができるかもしれません。今後の研究の進展を期待しつつ、この新たな取り組みが実際に成果を上げることを願います。