赤坂熱供給株式会社、グリーン水素を利用した熱源設備を導入
東京都港区赤坂5丁目地区において、赤坂熱供給株式会社(以下、赤坂熱供給)がグリーン水素を利用した地域冷暖房システムの設備を導入することが発表されました。この取り組みは、東京都心部の地冷会社として初めての試みとなります。2026年1月からの運用開始が予定されており、特に注目されるべき点は、環境負荷の削減に直結するということです。
グリーン水素を利用した設備の概要
赤坂熱供給では、再生可能エネルギーを用いて国内で生成されたグリーン水素を、トレーラー輸送で赤坂へ運びます。その水素は、清水建設株式会社が製造した水素吸蔵合金タンクに貯蔵され、燃料電池やボイラーの燃料として活用されます。このシステムは、冷温熱の製造過程におけるCO2排出量の削減を目指しています。
水素貯蔵タンク
導入される水素貯蔵タンクは、安全性を重視した特殊合金で作られています。この合金は、水素を体積の1/1000まで圧縮して貯蔵可能であり、火を近づけても着火しない特性を持っています。これにより、従来の高圧容器や液化水素タンクと比べて、より安全に扱えると共に建物内に設置することが可能です。また、レアアースを使用していないためコスト面でも優位性があります。
燃料電池と水素ボイラー
赤坂熱供給で使用される燃料電池はパナソニック製で、プラント内のLED電灯や空調、非常用コンセントに電力を供給します。グリーン水素による発電はカーボン・ゼロの電力供給を実践し、停電時にも自立運転が可能です。また、水素ボイラーは都市ガスとのデュアルフューエルシステムを採用しており、比較的CO2排出量が多いボイラーに導入されます。
地域冷暖房システムとは
地域冷暖房システムは、熱供給プラントから一定地域内の建物に冷水、温水、蒸気を供給し、冷房や暖房、給湯などを行うシステムです。この導入により、省エネ効果だけでなく、温室効果ガスや窒素酸化物の排出削減といった環境保全にも寄与します。さらに、利便性や安全性の向上も期待されており、多くのメリットがあります。
赤坂熱供給の今後の展望
赤坂熱供給株式会社は、地域のエネルギー供給に貢献する企業として、グリーン水素の将来性に着目しています。その目的は、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを通じ、安全で安心な水素利用設備を導入し、地域社会の暮らしを支えることです。
2025年10月までに設備の設置を完了し、2026年1月にはグリーン水素の運用が始まる予定となっています。この革新的な取り組みにより、東京都心のエネルギー環境が大きく変わることが期待されています。赤坂熱供給の動きは、全国的に見ても注目の事例となるでしょう。