看護師の定着支援に向けた実態調査から見えた課題と解決策

看護師の業務が過酷になりがちな中、その定着支援が重要な課題として浮上しています。レバウェル株式会社が実施した全国442名の看護師を対象とした調査によれば、約20%の看護師が入職から1年以内に退職を考えたことがあることがわかりました。特に、新年度に入職した看護師が多くなる5月から6月の時期は、早期退職のリスクが高まるため、フォローアップ体制の強化が求められています。

入職後の早期退職への課題

調査結果によると、看護師が退職を考えるタイミングとして最も多いのは入職後3年以上ですが、入職1年未満での意識も見られます。これを改善するためには、心理的サポートや職場環境の整備が必要です。例えば、1on1面談を通じて不安や孤独感を軽減する研修や制度を導入することで、入職直後の看護師を支えることができるでしょう。

表面的な理由と実際の退職理由

退職理由としては、「人間関係」が34.2％とトップという結果が出ました。しかし、実際に職場に伝えられた理由は「転居や家庭の事情」が33.3％とされ「スキルアップやキャリアチェンジ」が19.5％と続き、看護師の隠れた本音と表に出す理由にはギャップが見えます。職場が表面的な理由のみに注目して対策を講じても、根本的な問題解決には至らない可能性があります。メンター制度の導入や第三者相談窓口の設置により、安心して本音を話せる環境作りが有効な施策です。

“ペイハラ”が影響する看護師の離職

さらに、本調査では看護師の4人に1人が「ペイシェントハラスメント（ペイハラ）」を理由に退職を考えたことがあると報告されています。これは、患者やその家族からの暴言や理不尽な要求が、看護師にとって大きなストレス要因となり、結果的に業務意欲の低下や離職を引き起こすリスクがあることを示しています。ペイハラに対する対策が必要であり、患者や家族への事前注意喚起を行うことも効果的とされています。