大学における校務DX推進の実態
最近、株式会社エイトレッドが実施した調査により、大学における校務のデジタル化、即ち校務DXの現状が明らかとなりました。この調査は、大学で教務・事務を担当する管理職および事務職員合計103名に対して行われました。この結果、校務において紙文書が依然として広く使用されている現実、そしてそれに伴う課題が浮き彫りになっています。
校務における紙文書の現状
調査によると、約70.9%の大学が「紙文書が半分以上」と回答しており、「紙文書はほとんど使用していない」との回答はわずか9.7%に留まっています。これにより、大学の校務が依然として紙文化から脱却できていないことが示唆されています。
また、ペーパーレス化を進める上での最大の課題は「個人情報を含む電子データの安全管理」であり、40.8%がこの点を挙げています。大学においては特に学生の個人情報や成績データが扱われるため、セキュリティへの配慮が重要であることは言うまでもありません。
校務DXにおける今後の期待
校務DX推進に際し、最も重要とされているポイントは情報セキュリティの強化やペーパーレス化の実現であり、それぞれ50.5%、45.6%の支持を集めています。加えて、校務支援システムに対する期待として、「既存システムとの連携のしやすさ」が43.7%を占め、「紙のイメージのまま電子化できる」ことも41.7%で高い関心を得ています。
これらのデータは、学び舎としての大学が、効率性とセキュリティの両立を目指すことが今後の競争力に直結すると理解できます。
課題と意識改革の必要性
調査では、職員一人一人が持つペーパーレス化に対する意識の変革も一つの大きな課題として挙げられています。特に、「紙文化に慣れ親しんでいる職員の意識改革」や「作業を進めるうえでの、担当者を人的に割く余裕がない」という意見が多く寄せられています。これに対し、大学側は必要な情報にすぐアクセスできるシステムの構築や、デジタルリテラシーの向上を図る必要があるでしょう。
承認フローの課題
また、校務における申請承認業務の実施方法が調査され、「メール添付で承認を得ている」または「専用のワークフローシステムを導入している」が同率で25.8%を示しています。この結果からも、承認フローにおける複雑さや可視化の不足が業務効率化の障害になっていることがわかります。
まとめ
今回の調査によって、大学の校務におけるDXの進捗状況と、その推進における課題が明されています。特に、情報セキュリティを強化しつつペーパーレス化を実現することが急務であり、今後の取り組みが期待されます。また、大学現場では、馴染み深い紙文化からの脱却と、デジタル化への一歩を踏み出すために、職員の意識改革が大切であることが浸透すべきでしょう。
デジタル庁が進める全国的なDXの流れに沿って、大学も教育の質を向上させるための変革を迫られています。今後は、包括的かつ堅牢な校務支援システムの導入により、大学運営の効率化と競争力の向上が図られることが求められていると言えます。