乳がん治療と患者の意思決定支援を考えるパネルディスカッション
2023年に実施された「乳がん治療と多遺伝子検査に関する患者意識調査」の結果が、乳がん患者の治療選択における意思決定の重要性を浮き彫りにしました。この調査には全国から360人の患者が参加し、治療に対する期待や不安、情報ニーズなどが明らかになりました。参加者は様々な情報を求めており、共同意思決定(Shared Decision Making、以下SDM)の必要性を強く感じていることがわかりました。
乳がん治療における情報提供の重要性
乳がん治療の選択肢が多様化する中、患者が治療に納得し、安心できる選択をすることは非常に重要です。調査結果からは、医師からの適切な情報提供が不足している現状が浮かび上がりました。48.5%の患者が多遺伝子検査を検討したものの、検査を受けなかった理由として「医師からの説明がなかった」との声が多く、医療従事者によるサポートの重要性が強調されています。
セミナーとパネルディスカッションの内容
今回のパネルディスカッションでは、虎ノ門病院の田村宜子医師が「納得のいく治療選択と共同意思決定」をテーマに講演を行いました。田村医師は、多遺伝子検査の意義と、その結果をもとに患者がどのように治療を選択していくべきかを解説し、医療者として患者の気持ちに寄り添うことの重要性を訴えました。
さらに、エグザクトサイエンス株式会社の児玉順子氏による調査結果の解説が行われ、患者の情報ニーズの高まりが示されました。児玉氏は、医療現場におけるSDMの推進の必要性と、多遺伝子検査の結果が患者と医師の新たな対話のきっかけになることを強調しました。
患者支援団体の視点
パネルディスカッションには、一般社団法人「がんと働く応援団」共同代表の野北まどか氏や一般社団法人「ピアリング」代表理事の上田暢子氏が参加し、患者支援の観点からも意見が交わされました。彼らは「医師に任せる」姿勢から「共に考え決める」姿勢に転換するための方法について活発な議論を行い、患者が自らの治療選択に関与することの重要性が再認識されました。
患者の治療方針選択の実情
調査結果では、乳がん患者の44.4%が治療法の選択肢に関してほとんど知らなかったと回答しており、治療に対する不安が顕著であることが明らかになりました。約65.6%の患者が「最も避けたい治療」として化学療法を挙げており、これは患者にとって大きなストレスとなっていることが示唆されています。
さらに、82.5%の患者が多遺伝子検査に対して認識があり、大半が自ら情報を求めています。このことは、治療選択における本人の意識が高まりつつあることを示しています。多遺伝子検査を受けた患者の98.7%が満足しており、検査によって得た結果が治療方針の選択に大いに役立ったとの意見も寄せられています。
今後の展望と課題
調査の結果から見えたのは、患者が納得できる治療選択を進めるためには、情報提供の質と量を向上させることが急務であるという点です。また、多遺伝子検査に関しては、医師や医療チームのコミュニケーションが鍵を握っていることが示されました。患者と医師との連携を深め、共に治療を決定する文化を育むことが、今後の課題です。
このように、乳がんの治療における共同意思決定は患者自身の治療に対する理解を深めることにつながります。今後も医療従事者と患者が寄り添い、共に最適な方法を考える環境づくりが必要です。リサ・サーナは、このような患者中心の医療を推進するための活動を続けていくことを目指しています。