根管治療の認知度を高めるために—歯を守るための第一歩
最近行われた調査によると、根管治療に対する一般の認知度は非常に低く、4割にも満たないことがわかりました。多くの人がこの治療法について知識がない一方で、根管治療が実際には私たちの生活の質(QOL)を大幅に向上させる治療法であることが明らかになっています。
根管治療は何か?
根管治療は、虫歯が進行し歯の神経まで到達した際に必要となる治療です。この治療は、神経や感染した組織を取り除き、根管を消毒・密封することで、自分の歯を保存する手助けをします。この方法を用いれば、20年、30年といった長い期間、歯を維持することが可能です。
調査結果の概要
一般社団法人日本歯内療法学会が実施した調査は、20代から50代の男女1,029人と歯科医師507人を対象に行われました。その結果、約7割の一般人が根管治療を「知らない」と回答し、約4割が「名前は聞いたことがあるが、詳しくは知らない」と答えました。実際に根管治療を受けたことがある人はわずか約17.8%に過ぎず、8割以上が未経験者という結果になりました。
根管治療のメリット
根管治療に成功した患者からは、「歯を抜かずに済んだ」との声が多く聞かれます。抜歯を避けることができたことで、噛み心地や食事を楽しむことができ、日常生活のクオリティが向上したという意見が多く寄せられました。また、根管治療を受けることで、歯を保持するだけでなく、発音や咀嚼機能にも良い影響を与えることが確認されています。
患者の悩みと不安
一方で、根管治療に対して「痛い」「怖い」といった否定的なイメージを持つ人が多く、約54.7%がそのように感じていると回答しました。また、治療に対する費用の高さや治療期間への不安も大きな障壁となっていることがわかります。保険適用の治療であれば比較的手頃な価格で受けることができる場合もあるにも関わらず、情報が不足しているために不安が際立ってしまうのです。
歯科医師の視点
調査に参加した歯科医師の約6割が患者の理解度に疑問を持っており、患者の不安解消が治療成功に重要であるとしています。また、痛みの少ない治療法の採用や治療内容の詳細な説明といった工夫を重ねていることが確認されました。
まとめ
根管治療に対する認知不足と治療に対する誤解は、患者が適切な判断をする上での大きな障壁となっています。この問題を解決するためには、医療機関側からの情報提供が必要不可欠です。根管治療を「最後の手段」と捉えるのではなく、「第一の選択肢」として理解し、適切なタイミングで行うことで、歯を守り、QOLの向上に繋げることができるでしょう。私たちの歯を大切にするために、正しい知識と理解を深めることが求められています。