岡山大学から新たに発表された書籍「Death Feigning: Mechanisms, Behavioral Ecology and Implications for Humans」は、動物界における捕食者からの回避戦略「死んだふり」に関する研究を総合的にまとめたものです。著者である宮竹貴久教授は、1990年代からこの興味深い行動の研究を進めてきました。
「死んだふり」は多くの動物に見られる行動で、捕食者と出くわした際に一時的に動かずになることで身を守る戦略として知られています。しかし、この行動の科学的な研究が本格的に行われるようになったのは最近のことです。この書籍では、宮竹教授が25年以上にわたって積み上げてきた研究成果を基に、行動学、生理学、分子生物学の視点から「死んだふり」を徹底解明しています。
特に、教授は甲虫を対象にした実験を行い、データを豊富に提供しています。また、世界中で行われた過去の研究を整理し、「死んだふり」が生物の進化においてどのような意味を持つのかを考察しています。例えば、「死んだふり」が人間のPTSDやトラウマによるフリーズ現象に関連することも発表されており、本書は生物学だけでなく心理学的な知見ももたらしています。
書籍は2026年1月3日にSpringer Nature Linkにてオンラインで登場し、英語での出版を通じて、国内外の研究者や学生にも広くアクセス可能となっています。宮竹教授は、自身の研究がこのように形になるまで長い道のりがあったことを振り返り、「学生には興味を持つことの大切さを伝えたい」と表現しています。
書籍の内容は、進化的意義、物種を超えた普遍性、さらには生理的・遺伝的メカニズムに至るまで多岐にわたります。そして、行動の根源に迫るための新たな知見を提供します。「死んだふり」は動物界だけでなく、人間の行動にも影響を及ぼす可能性を秘めたテーマであり、この研究が今後どのように進展していくのかが注目されます。
この書籍を通じて、多くの人々が動物界の興味深い行動を理解し、さらに人間の心理や行動について考えるきっかけになることを期待しています。岡山大学は、引き続きこのような新しい発見を通じて、地域社会や学術界との連携を深めていくことでしょう。