ブルーカーボンの新発見
2026-09-11 14:20:24

地球観測衛星「しきさい」によるブルーカーボン研究の新展開

地球観測衛星「しきさい」によるブルーカーボン研究の新展開



近年、気候変動対策への関心が高まる中で、海洋が持つ炭素固定能、いわゆる「ブルーカーボン」が注目されています。特に、海草や海藻から成る生態系が大気中の二酸化炭素を吸収・隔離する能力は、地球温暖化対策において重要な役割を果たしています。

このたび、日本の地球観測衛星GCOM-C「しきさい」による新たな研究が発表され、沿岸域におけるブルーカーボンの広域的な把握が可能になる可能性が示唆されました。この研究では、相模湾と駿河湾を対象に、衛星観測データを用いて沿岸域の懸濁物質量(Total Suspended Matter: TSM)と、河川・海草藻場との関係性が検証されました。

研究の背景と目的



ブルーカーボン生態系は、海洋における主要な炭素固定の場として認識されています。この生態系の中で、藻場から放出される有機物は重要な役割を果たす一方、陸域から供給される有機物もまた同様に重要です。しかし、これまでの研究は主に藻場の分布や面積を把握することに重点が置かれ、有機物の広域的な分布把握には限界がありました。

本研究では、GCOM-CのSGLIセンサーを使用し、衛星データから推定されるTSMを指標に藻場から放出される有機物の分布を調査しました。TSMは海水中を漂う有機物や土砂などの粒子の量を示し、これが沿岸域のブルーカーボンにどのように関連するのかを評価することを目的としています。

調査結果



相模湾と駿河湾の解析から、河口からの距離が大きくなるほどTSMが有意に低下する傾向が確認されました。また、環境省の調査により、海草藻場が確認された地点では周辺の沿岸海域に比べ、TSMが有意に高い値を示しました。これらの結果は、TSMが沿岸域のPOM(Particulate Organic Matter)の分布を反映していることを示唆しています。

研究の意義



この研究の成果は、ブルーカーボンを評価するための新しいアプローチを提供します。人工衛星によるリモートセンシングを活用することで、大規模な沿岸域を効率的に評価することが可能になります。特に、現地調査においては広範囲の観測には限界があるため、衛星データの活用は非常に重要です。

研究チームは、今後の展望として、衛星データを通じてブルーカーボンのモニタリングや管理の手法へ応用されることを期待しています。これにより、より高精度なブルーカーボンの評価が実現し、気候変動対策にも寄与することが見込まれています。

結論



今回の研究は、衛星データを用いた新しいブルーカーボンの評価方法を確立する試みであり、その結果は今後の海洋環境研究や政策策定において重要な意義を持つことでしょう。

本研究成果は、2023年8月15日にELSEVIERの英文誌『Environmental Advances』に発表されています。今後の研究がどのように進展するのか、引き続き注目です。


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