ITエンジニア採用の難しさと非エンジニア間のギャップ解消法
近年、IT業界ではエンジニアの採用がますます困難になる中、株式会社ラクスパートナーズ(東京・新宿)が実施した調査結果が注目を集めています。本記事では、ITエンジニア採用に関する非エンジニア採用担当者との認識ギャップについて掘り下げ、その解消に向けたアプローチを探っていきます。
調査結果の概要
ラクスパートナーズは、約1,000名のエンジニアと非エンジニアの採用担当者を対象とした調査を行いました。その結果、採用強化の中心が「経験3〜5年の中堅層」であり、この層の育成に対する関心が高まっていることがわかりました。一方で、理想的な人材の確保には課題が多く、約7割の参加者が「十分に採用できた」と答えていません。特に、非エンジニアの担当者は、IT知識の不足を感じているケースが約30%にも及ぶことが明らかになりました。
要因その1: 非エンジニア担当者の不安
調査では、非エンジニアの採用担当者がIT分野において十分な理解を持っていないことがギャップの主な要因として浮かび上がっています。適切な判断を下すための知識が不足し、エンジニアと非エンジニアの間で評価基準が異なっていることが、評価のズレやミスマッチを引き起こしていると考えられます。具体的には、技術的な評価基準や応用力を評価する際の理解不足が、採用プロセス全体に影響を与えています。
要因その2: 志向と現場とのすり合わせ
非エンジニア担当者は、「候補者の志向を把握すること」を特に難しいと感じています。これにより、エンジニアが求めるキャリアパスや価値観の理解が不十分となり、候補者とのコミュニケーションに支障を来しています。適切なマッチングを図るためには、両者の意識や志向のすり合わせが不可欠です。
要因その3: 情報共有の不足
9割近くの非エンジニア担当者が何らかの形でギャップを感じているという結果も注目です。「人物評価と技術評価のバランス感」や「技術的な内容の評価」において、認識の差があることが指摘されています。双方の理解を深められないまま選考を進めてしまうと、採用効率が落ち、結果として優秀な人材を逃してしまう恐れがあります。
解決策の提示
このようなギャップを埋めるための施策として、以下のようなポイントが考えられます。
1.
教育と研修の充実: 非エンジニア採用担当者向けに、IT関連知識や用語理解を深めるための研修を実施することで、評価基準の統一を図ります。具体的に言えば、ITエンジニアと面談する際の専門用語や、実務経験に基づく評価基準についてしっかりと学ぶ機会を提供することが重要です。
2.
エンジニアとの直接のコミュニケーション: 採用担当者とエンジニアとの距離を縮めるための対話の場を設け、実際の業務やスキルに関する理解を深めることが求められます。これは、必要なスキルセットや業務の生の声を採用担当者が直接聞く良い機会となります。
3.
チームでの連携強化: エンジニアと採用担当者が一丸となって協力し、求める人材像の明確化や評価基準の一貫性を保つ努力が求められます。特に採用フローの見直しを行い、定期的に情報共有を行う仕組みを整えることが不可欠です。
まとめ
ITエンジニア採用の現場において、非エンジニア採用担当者との間に生じているギャップがどのように影響を及ぼしているのか、またその解消方法について探ることで、組織全体の採用戦略の質を高めれる可能性が見えてきました。ITエンジニア採用は競争が激化している今、こうしたすれ違いを解消し、チーム全体での一貫した採用展開を図ることが今後の課題となるでしょう。これにより、求める人材の確保し、優れた職場環境を実現することにつながるのではないでしょうか。