企業のESGへの取り組みとデータ管理の課題
2026年9月7日、株式会社電通総研は国内500社を対象にした「2026年 ESG企業動向調査」の結果を発表しました。この調査は、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)への企業の取り組み状況およびESG情報管理ツールの導入状況を明らかにする目的で実施されました。
調査の背景
世界では、ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)や欧州のCSRD(企業サステナビリティ報告指令)といった新たな情報開示規制が強化されており、日本国内でもSSBJ(サステナビリティ基準委員会)による基準策定が進行中です。このような流れの中で、企業のESG責任体制や情報開示の実態、ESGデータの管理方法を調査し、対応傾向を明確にすることが求められています。
主な調査結果
1. ESG情報開示の定着
調査によれば、役員がESG責任者を担う企業は75.6%に達し、ESGレポートを作成・開示している企業は72.6%にのぼります。このようにESG情報の開示は既に定着しており、企業は「開示の有無」から「開示品質の向上」に焦点を移しています。
2. データ管理のシステム化
ESG情報管理ツールやGHG排出量算定ツールを導入している企業は52.4%に達しましたが、実務に関しては表計算ソフトウエアに依存している企業が多いことが分かりました。64.7%の企業が、データ管理の実務がシステム外で行われていると回答し、部門間でのデータ提出が不統一であることが大きな課題とされています。
3. SSBJへの対応状況
SSBJの適用が進む中、企業は内部統制の整備や対応コストの負担感を強く感じています。73.5%の企業が専用ツールを導入しており、管理体制の成熟度が高まっている一方、コストや報告基準の整合性に関する問題が表面化しています。
4. ESG情報管理の現状と課題
データの形式や粒度の不統一が最大の課題として浮かび上がっています。具体的には、ESGデータ収集におけるシステム外作業が依然として多く、半数以上の企業がデータ処理に苦労している現状があります。データの標準化と品質管理の必要性が高まっているのが実情です。
結論
電通総研の調査結果は、企業のESGへの取り組みが進展している一方で、データ管理や内部統制等の実務面での課題も多いことを示しています。企業は、さらなるESG情報の品質向上やシステム化の進展を図る必要があります。今後は、これらの課題を克服し、持続可能な経営を実現するための取り組みが一層重要となるでしょう。
この調査を受けて、企業は今後のESG対応をいかに進めていくのか、その動向に注目が集まります。