ロッテのBCP強化プロジェクト、日本を支える危機管理の新たなモデル

ロッテが推進するBCP強化プロジェクトの魅力

ロッテは、国民的な人気を誇る菓子ブランドとして知られていますが、その裏には堅牢な危機管理体制が存在します。近年、同社は「対面参加型」のBCP（事業継続計画）強化プロジェクトに取り組んでおり、これは日本企業にとって新たなモデルケースと言えるでしょう。特にニュートン・コンサルティングとの協業で実現されたこのプロジェクトは、危機管理の重要性を再認識させるものとなっています。

BCPの転換 — 地震対応からオールハザード型へ

これまでロッテは、主に地震に焦点を当てたBCPを構築してきました。しかし、東日本大震災を契機に、より広範なリスク管理の必要性が高まったため、同社はオールハザード型のBCPへとシフトしました。これは、菓子業界のみならず、企業全体での持続的な成長を目指す戦略的な判断です。この新たなBCPは、自然災害だけでなく、様々なリスク要因に対応するための包括的な対策を講じることを目的としています。

プロジェクトの進行 — 4年間をかけた取り組み

プロジェクトは4年にわたり進められました。最初の年では、社長へのインタビューや経営層を対象としたワークショップを通して基本方針を整える作業が行われ、BCP文書の策定が進みました。このプロセスにより、復旧目標の確認や重要な事業継続のルールの合意を経て、全国5つの工場と複数の部署のBCPが具体化されました。

2年目以降は、文書に基づいた演習や初動対応訓練が行われ、全工場や本社での実施が重要視されました。特に「本社緊急対策本部訓練」では経営陣が参加し、有事における対応策の検討が行われました。これにより、参加者全員が危機管理に対する自覚を高めることができたのです。

対面必須の訓練が生む効果

特筆すべきは、すべての演習や訓練を直接対面で行うという点です。オンラインではなく、実際に現地での議論を重視することで、参加者の活発な意見交換が促進され、より実効性のある組織体制が築かれました。このことで、参加者一人ひとりが「BCPに取り組むことは当たり前」との意識を持つようになり、組織全体でのBCP強化が進行しました。

未来に向けた展望

今後の展望としては、国内の関連会社や海外の工場へのこのプロジェクトの展開が予定されています。ロッテは、このBCP強化プロジェクトを通じて、より多様なリスクに対応できる能力を持つ企業として成長を遂げるでしょう。そしてこの取り組みが、他の企業にも良い影響を与えることを期待しています。

ニュートン・コンサルティングの役割

ニュートン・コンサルティングは、BCPに関する専門的な支援を提供しており、同社の「BCM/BCP改善・再構築支援サービス」は、企業に合わせた継続可能なBCM/BCP策定の手助けを行っています。この手法は、経営陣の意向を反映し、当事者による体験をもとにした実効性のあるBCPの構築を目指しています。これにより、特に危機時に迅速かつ適切な対応を可能にしています。

まとめ

ロッテのBCP強化プロジェクトは、企業の危機管理の新しい形を示したといえるでしょう。特に、参加者が主体的に取り組む姿勢を育むことが重要視されており、その効果は今後の企業文化に良い影響を及ぼすことが期待されます。危機管理の重要性を再認識し、企業全体での取り組みを深化させる意思を持つことは、今や企業の成長に必要不可欠とされています。危機はいつ起こるか分からないからこそ、ロッテのように先手を打つ姿勢が求められます。