新たながん治療薬の開発
2026-09-18 14:12:41

AIと人間の知恵が結集!新たながん治療薬の開発に向けた成果

AIと人間の知恵が結集!新たながん治療薬の開発に向けた成果



国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)と岐阜大学の共同研究グループは、AIモデル「Boltz-2」を活用して、がん関連酵素AKR1B10の新規阻害剤候補を高効率に特定するプロセスを実証しました。この成果は、従来の創薬プロセスに革新をもたらすものとして期待されています。

研究の背景


がんの治療には、さまざまな薬剤が用いられていますが、がん細胞の薬剤耐性の獲得が新たな課題として浮上しています。AKR1B10は、がんの発生や進展、薬剤耐性に関与する酵素であり、その選択的な阻害剤の開発が求められていました。しかし、活性部位の柔軟性と類似酵素であるAKR1B1との選択性確保が難しいという課題が存在していました。そこで、今回の研究チームはAIの力を借りて、より効率的に候補化合物をスクリーニングする方法を模索しました。

AIによる効率的な候補抽出


研究チームは、50,240の化合物からAKR1B10の活性を阻害する候補を抽出するため、AIモデルを駆使しました。AIが予測した化合物を基に、専門知識と実験データを組み合わせて、最終的に40の候補化合物を選定しました。その中で、28の化合物が有効であり、さらに7つの化合物は特に顕著な阻害活性を示しました。この結果は、高いヒット率を実現しており、従来の方法と比べても優れた結果を得ています。

ドライ・ウェットギャップの克服


AIによる予測(ドライ)と実験結果(ウェット)の間に存在する「ドライ・ウェットギャップ」を縮小することが、今回の研究の大きな成果です。従来は、この溝を埋めることが難しいとされてきましたが、産総研と岐阜大学の研究チームは、AIによるスクリーニングと実験検証を組み合わせることで、数万から数百万の候補の中から有望な化合物を短時間で見出すことに成功しました。

実験結果と選択性の確認


実際の実験では、選定した化合物がAKR1B10の活性を50%以上低下させたことが確認され、さらにその中の複数の化合物がAKR1B1に対しての選択性を持つことが明らかになりました。この選択性が特に重要であり、治療薬としての有用性を高める要素といえます。AIによる予測が、化合物の正しい向きを導き出す役割を果たしたことも注目すべきポイントです。

未来への展望


この研究成果は、がん治療薬の創出に新たな可能性をもたらすものであり、AIによる創薬のさらなる発展が期待されます。次なるステップとして、選ばれた化合物の構造最適化を進め、がん細胞に対する効果を高めていく方針です。また、今回のアプローチが他の創薬対象にも展開できることにより、AI領域でのさらなるイノベーションにつながることでしょう。

ここで紹介した研究成果は、2026年9月12日に「Journal of Chemical Information and Modeling」に掲載され、業界内外から注目を集めています。これにより、AIと人間の協働による新たな薬剤の開発の道が広がるとともに、がん治療の新たな展開を期待したいところです。


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