東京の自然と共生するための新しい取り組み、いきもの台帳の植物情報公開

バイオーム東京が花開く新たなイニシアティブ

東京都とバイオームが手を組み、東京に生息する植物相の詳細を明らかにするための新たなデジタルプラットフォーム「東京いきもの台帳」が始まりました。この取り組みは、ネイチャーポジティブの実現に向けた第一歩であり、都民や研究者が自然環境をより良く理解するための貴重な情報源となることが期待されています。

植物の標本情報115,840件を公開

今回の発表では、東京に自生する植物の標本情報が115,840件、4,179種に及ぶことが公表されました。この情報は、1873年に武蔵小河内（現在の奥多摩町）で採集されたシシウドの標本を含む、さまざまな植物の過去の状況を把握するために有効です。特に都市化が進む現代において、過去の自然環境を知ることで、現状を理解し、将来の環境保護活動への指針となるでしょう。

絶滅種の過去を振り返る

例えば、渋谷地区においては130年前には豊かな草花が広がっていました。「東京いきもの台帳」に収録されたその時代の標本の一つ、レンリソウは、現在では絶滅（EX）とされる貴重な植物です。過去の東京の自然環境では、このような植物が生息する余地があったことを証明しています。こうした情報は、現在と未来の生態系の維持・復元に向け、重要な示唆を与えてくれます。

市民参加型の調査イベントに注目

加えて、バイオームが開発したアプリ「Biome」を活用した新たな調査イベントがスタートしました。このイベントでは、参加者が冬のいきものを探し、見つけた植物や生物をアプリ上で報告することができます。調査期間は2025年12月16日から翌年の2月28日まで。スマホ片手に東京の自然を巡るこの活動は、ただの調査にとどまらず、探検や発見の楽しさをも提供してくれます。

都民による生物調査の未来

「東京いきもの調査団」と呼ばれる市民参加型プロジェクトも進行中で、東京都はデジタル版の野生生物目録を作成するために、有識者と市民が共同で活動しています。このプロジェクトにはスマホアプリを使用し、誰でも参加できる仕組みが組み込まれています。情報収集は標本や文献だけにとどまらず、市民参加による調査も重要な役割を果たします。