小売市場の現状を探る
クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(C&W)が発行した「リテール マーケットビート2025年第一四半期」のレポートから、現在の小売市場の動きとその背景を詳しく見ていきましょう。
経済状況と消費者動向
2025年第1四半期は、世界経済に不安定な要素が多々存在し、消費者の購買意欲に影響を及ぼしています。その結果、実質GDPは前期比年率-2.1%という予測がなされており、物価高に苦しむ消費者は支出を控える傾向にあります。コア消費者物価指数(CPI)は依然として高止まりしており、昨年のピーク時よりは押し下げられているものの、依然として+3.2%となっています。このような状況により、消費者態度指数も大きく低下し、2025年3月には約2年ぶりの低水準にまで達しました。
特に、訪日外国人による高額品の消費が減少しており、免税売上も前年同月比10.7%減を記録したことから、彼らの消費を背景とした高額品販売は大きな打撃を受けています。
業態別の販売動向
業態別に見ると、最も好調なのはドラッグ・ストアで、前年と比較して5.7%の増加を記録しました。一方で、高級商品を扱う百貨店は0.4%の微減となっており、前年の好調さからの反動が影響していると考えられます。これらの数字は、経済の回復力や消費者の心理に深く結びついているため、今後の動向が非常に注視されます。
賃料の動き
賃料については、プライムエリアの賃料が引き続き上昇しています。特に、渋谷や表参道エリアでは賃料の上限が大きく上昇しており、需要が高いことが窺えます。一方、プライムエリアの拡大も見られ、新宿では以前にはなかった新たな商業施設の開業が予定されています。このように、新たな開発プロジェクトが賃料に影響を与える可能性もあります。
outlook
今後の見通しとしては、アメリカとの輸入関税交渉が継続する中で、世界経済全体の先行きは依然として不透明です。ドル円相場の動向も影響を及ぼしており、訪日外国人の消費はさらに減少することが予想されています。プライムエリアの賃料は多少の上昇が見込まれますが、上限賃料は横ばいになる可能性が高いです。
再開発の動きがある中、福岡や名古屋でのプライムエリアの拡大も予想されており、新たな市場機会が生まれることでしょう。今後の動向に引き続き注目し、その変化をキャッチすることが重要です。
最後に
C&Wの detailed なレポートは、経済の動向や市場の変化を理解するための貴重な情報源です。今後の変化を見極め、適切な戦略を持つことが求められます。レポートのダウンロードや詳細は、C&Wの公式サイトを訪問してご確認ください。