デンソーの異音検知
2024-12-28 08:52:17

デンソーITラボが提案する異音検知技術の最前線

デンソーITラボが提案する異音検知技術の最前線



デンソーアイティーラボラトリの研究者、太刀岡勇気氏が発表した論文がこのほど国際会議「EUSIPCO 2024」で採択されました。今回の研究成果は、異常音を効率的に検知する革新手法を提案するものです。これにより、工場などの機械が発する異常音をより高精度で判別できる可能性を大いに秘めています。

研究の背景と課題


工場の製造プロセスでは、機械の故障を早期に発見するための異常音検知(ASD)が重要です。しかし、異常音のデータは稀少であり、様々な環境で発生するため、正確な学習が難しいという課題がありました。

異常音検知の方法は、大きく「inlier modeling(IM)」と「outlier exposure(OE)」に分かれます。IMは正常音をもとに異常音を識別する手法ですが、OEは異なる種類の正常音を学習データに加え、さらに精度の高い判断を試みるものです。従来のOEベースのモデルでは精度にばらつきが見られていたため、研究者たちはその精度を向上させるための新しいアプローチを模索していました。

提案された新手法


太刀岡氏の提案では、異常音を持つ機械の正常音を、対象となる機械の正常音の学習として利用します。例えば、特定の機械の異常音を判別する際に、他の類似した機械の正常音を学習データとして組み込むことで、より高精度な異常音検知を実現します。これにより、通常の計算量を大幅に削減することも可能になります。

この新手法は、異常音データが不足しがちな実際の現場において特に有用であり、迅速な異常音検知を可能にします。工場内の機械に適用することで、生産効率や安全性を向上させることが期待されています。

実験結果と評価


本研究では、DCASE Challenge 2022から得たデータをもとに、異常音検知の精度を評価しました。実験の結果、異なる機械の正常音を学習に加えた場合、従来の方法よりも高い精度で異常音を検知できることが示されました。

具体的には、対象機種の正常音をベースラインとして学習し、他の機種の正常音も正例データとして同時に学習させることによって、異常音の検知精度が向上することが実験的に証明されました。この手法は、通常の学習手法に比べてはるかに高度な精度向上を実現しています。

今後の展望


この研究成果を基に、製造現場での異常音検知モデルの構築が期待されています。さらには、自動車の異常音検知にも応用が可能であり、より安全で信頼性の高い車両の実現に寄与できるでしょう。

デンソーITラボは、先端基礎研究を進める企業であり、機械学習、信号処理、認知科学などの分野で様々な課題解決に取り組んでいます。これからも、未来のモビリティ社会に向けた革新研究により、私たちの生活を変えていく技術を提供してくれることでしょう。


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