2025年の広告費成長予測、デジタル広告が主要な牽引力に

2025年広告費成長予測の新たな展望

電通グループ（dentsu）が2025年に向けた世界の広告費成長率予測を更新しました。この情報は、世界56市場から集めたデータに基づいており、年に二回の更新が行われていますが、今回は経済環境の不確実性から、2025年の予測のみに焦点が当てられています。

世界の成長率とデジタル広告の影響

2025年の世界における広告費は、4.9%増加し9,920億米ドル（約143兆円）に達すると予測されています。この成長は、2024年に開催されるパリオリンピック・パラリンピックや米国大統領選挙といった大きなイベントによる影響で、2024年の成長率6.7%と比べるとやや鈍化しています。それでも、地域ごとの回復力と適応力が全体の成長を支えており、特にデジタル広告がその成長を引っ張る存在となっています。

デジタル広告は、7.9%の成長を見込んでおり、全体の68.4%に達することが予測されています。その中でもリテールメディアが13.9%増、ソーシャルメディアが9.2%増、プログラマティック広告が8.4%、サーチ広告が8.3%と、それぞれ高い成長が期待されています。特に、生活者の行動や嗜好に基づくアルゴリズム広告の活用が進むことで、広告のROI（投資対効果）が高まると考えられ、2027年には広告費全体の78.1%を占めるとの予測も立てられています。

地域別の広告費成長傾向

地域ごとの広告費成長率は以下の通りです。アジア太平洋地域（APAC）では、日本を含むこの地域が6.0%の成長を見込み、3,615億米ドル（約52兆円）に達すると予測中です。特にインドは7.9%の成長が見込まれており、急成長しています。

一方、EMEA（欧州・中東・アフリカ）地域では4.5%の成長が見込まれ、2,007億米ドル（約29兆円）となります。特に英国の成長率は6.9%が見込まれています。Americas（米州）では、4.2%の成長予測がされており、ブラジルの成長が特に目立っています。

媒体別の広告成長予測

媒体別では、コネクテッドTVが広告の普及に伴い10.9%の成長が見込まれていますが、全体のテレビ広告は1.8%の減少が予測されています。しかし、屋外広告（OOH）は2.7%の成長が見込まれ、デジタル屋外広告が4.2%の拡大が期待されています。

成長が期待される業界セクター

業界別の成長では、通信業界が特に注目です。5Gの拡大やデジタルコンテンツの需要増加が背景にあり、8.3%の成長が予想されています。また化粧品・パーソナルケア分野でも需要の高まりから7.3%の成長が見込まれています。特に、スキンケアやウェルネス製品への注目が高まっており、天然素材の利用に関心が集まっています。