がんの卵とは何か?
がんは、早期に見つけることで治す可能性が高まる病ですが、具体的に「早期」とはどのタイミングを指すのでしょうか?ここで注目したいのが、「がんの卵」という概念です。この言葉を提唱しているのは、米子市にてクリニックを運営する小児科医の田本直弘医師です。彼は4男4女を育てる父でもあり、日常的にYouTubeやTikTokで健康情報を発信しています。特に、がんを早期に発見することの重要性について力を入れています。
小さなサインを見逃さないために
「がんの卵」とは、がん細胞が芽生え始めた初期段階のことを指します。この頃は、まだ数年から十数年の間に1cmほどの腫瘍に成長する可能性があるとされています。がんがまだ小さい段階、つまり“芽”の段階で発見することができれば、その後の治療が格段に易しくなります。
ステージ1での発見が重要
データによると、がんの5年生存率はステージ1で92.4%に達するのに対して、遠隔転移が認められるステージ4ではわずか15.7%に減少します。このことは、がんが早期に発見されることが命を守るための大きなカギであることを示しています。残念ながら、実際には多くの人が「無症状だから大丈夫」と過信し、気づいた時にはがんが進行してしまっているケースが多く見られています。
PET・CT検査の限界
現在一般的に行われているPETやCT検査は、1cm以上のがん細胞がないと、画像上での検出が難しいことが多いです。これに対し、CTC(循環がん細胞)検査は血中のがん細胞を捉えることが可能で、初期段階の「がんの卵」を識別する手助けをしてくれます。CTC検査はあくまで確定診断を目的としたものではありませんが、がんの発症をいち早く知るための新しい予防手段として注目されています。
健康意識を高めるために
田本医師は、「健康でいることが家族の未来を守るために重要だ」と語ります。40代を迎え、自分が倒れることについて考えた時、子どもたちの未来が気になります。そのため、自分自身の健康に目を向け、早期発見が大切であることを広めています。兆候が現れる前に、自分の体を理解しておくことが、未来の健康づくりの鍵となるのです。
がんに関する新しい常識
日本では2人に1人ががんになる時代が訪れています。特に40代以降はがんによる死亡率が急上昇します。「がんは遠い病気」と考えるのは過去の話であり、今や「まだ発症していない今」という時期にこそ、行動が生死を分ける関門となります。「がんの卵」に早く気付くことが、私たちの未来を守る新たな常識として広がることが期待されています。
【監修・執筆協力】
田本直弘(たもとなおひろ)
米子こどもクリニック理事長、小児科医。TikTokやYouTubeでは「ゆび先生」として親しみのある情報発信を行い、10人の子供を持つ父として医療の知識を日常生活に役立てるサポートをしています。